薬剤師国家試験 第106回 問308-309 過去問解説

 問 題     

病院の医薬品情報室の薬剤師が医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)より医薬品の安全性速報を受信した。

薬剤師は、その情報をもとに院内での必要な対応を行うとともに、直ちに当該医薬品の使用患者及び使用状況を把握するため電子カルテより使用患者の抽出を行った。

問308

「安全性速報」に関する説明として正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. MedDRA(Medical Dictionary for Regulatory Activities)とも呼ばれる医薬品安全性情報である。
  2. 特に重要で緊急に伝達を必要とする副作用について、当該製造販売業者が作成する情報で、「イエローレター」とも呼ばれる。
  3. 医薬品等の安全性に関する重要な情報であり、緊急安全性情報に準じ厚生労働省の指示等で、製造販売業者が作成する情報である。
  4. 医薬品の使用によって、健康被害が生じた場合に、医療従事者が厚生労働大臣(情報の整理を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に行わせることとした場合にはPMDA)に提出する情報である。
  5. PBRER(Periodic Benefit-Risk Evaluation Report)とも呼ばれる国際的な安全性評価情報である。

問309

薬剤師が、この病院内で行う措置として適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. 当該医薬品を使用している患者名をホームページに公開して、注意喚起を促す。
  2. 院内の職員へ安全性速報が発出されたことを周知する。
  3. 緊急安全性情報ではないことから、使用上の注意の改訂情報が出されるまで周知を留保する。
  4. 当該医薬品を使用している患者に、すぐに中止するよう連絡する。
  5. 当該医薬品を使用している患者数を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告する。

 

 

 

 

 

正解.
問308:3
問309:2

 解 説     

問308

安全性速報(ブルーレター)とは、添付文書改訂の際、迅速に注意喚起等が必要な場合に、厚生労働省からの指示や製薬企業の自主決定に基づき作成される文書等です。(104-306307)。

選択肢 1 ですが
MedDRAとは、医療に関する国際間の情報交換を迅速かつ的確に行うため、国際的に共通する用語集として医薬品規制ハーモナイゼイション国際会議(ICH)において作成された、症状、徴候、疾患などに対応する医学用語集のことです。安全性速報ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
イエローレターは、添付文書の「警告」や「禁忌」に追加する情報を迅速に伝達するために、厚生労働省の指示のもとに製造販売業者が作成する文書です。緊急安全性情報とも呼ばれます。(103-82)。安全性速報ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。

選択肢 4 ですが
副作用等報告についての記述です。安全性速報ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
PBRER とは、Periodic Benefit Risk Evaluation Report(定期的ベネフィット・リスク評価報告)の略です。安全性速報ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

問309

ブルーレターのイメージとしては、ある抗血栓治療薬について、腎機能が弱っている高齢者の死亡例が数件あり、添付文書に警告として、投与前の検査項目が追加されるといったものです。実際に病院内で使用されている薬に関して、このような速報をメール等で受信した、と考えると想像しやすいのではないでしょうか。

選択肢 1 ですが
「患者名を公開」しても意味がありません。気をつけるべきは病院職員側であり、周知すべき対象も病院職員と考えられます。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。

選択肢 3 ですが
「迅速に注意喚起等が必要」なので作成される文書です。改訂情報が出るまで周知を留保するのは妥当ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
注意事項をふまえた使用が必要となるのであって、使用している患者に対してすぐ中止を連絡するのは、むしろ薬の不適切な中止につながってしまい不適切です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
副作用報告ではないため、PMDA への報告は不要です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

コメント