薬剤師国家試験 第106回 問228-229 過去問解説

　問 題　　　　　

60歳男性。高血圧症及び不眠症のため、2週間ごとに近医を受診していた。最近、呼吸困難感及び胸痛を認め、さらに血痰及び喀血を生じたため、精査加療目的で大学病院に入院となった。

その後、侵襲性肺アスペルギルス症と診断され、ボリコナゾールによる治療を翌日から開始することになった。

入院時の持参薬は以下のとおりである。

問228

ボリコナゾール投与開始にあたり、病棟担当薬剤師は持参薬の内容を確認して、病棟担当医に服用する薬剤の変更を提案した。その内容として適切なのはどれか。1つ選べ。

1. アジルサルタン錠をテルミサルタン錠に変更
2. アジルサルタン錠をアムロジピンベシル酸塩錠に変更
3. アジルサルタン錠をアゼルニジピン錠に変更
4. スボレキサント錠をロルメタゼパム錠に変更
5. スボレキサント錠をトリアゾラム錠に変更

問229

ボリコナゾールと処方変更前の薬物との相互作用の機序として適切なのはどれか。1つ選べ。

1. プレグナンX受容体(PXR)を介したCYP3A4の誘導
2. P-糖タンパク質の阻害
3. CYP3A4タンパク質との共有結合による阻害
4. CYPのヘム鉄との配位結合による阻害
5. P-糖タンパク質の誘導

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

問228

スボレキサント（ベルソムラ）は、選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬です。覚醒を維持するオレキシンの受容体を遮断することで寝つきをよくし、眠りを維持します。(105-154)。CYP 3A 阻害薬とは併用禁忌です。従って、スボレキサントの変更が妥当です。トリアゾラムも CYP 3A 阻害薬と併用禁忌なので、ロルメタゼパムが妥当と考えられます。

以上より、正解は 4 です。

問229

アゾール系は、CYP のヘム鉄と配位結合して阻害します。（参考 103-45)。

以上より、正解は 4 です。