問 題
65歳女性。2日ほど前から、下腹部の痛みを感じ、皮疹が発現したため、かかりつけ医を受診したところ、帯状疱疹と診断された。以下の処方が出され、処方箋を持って薬局を訪れた。面談で「1日5回飲むのは大変で飲み忘れると思う」と訴えがあった。
この患者は、この薬局をかかりつけとして日頃から利用していたので、薬歴を確認したところ、3年前にも帯状疱疹でバラシクロビル塩酸塩錠500mgを服用しており、1日3回服用でもアドヒアランスが良好ではなかったことが判明した。
そこで、薬剤師は医師に連絡をとり、アドヒアランスが不良となる可能性があることを伝え、1日1回のアメナメビル錠への変更を提案したところ、承諾を得たので、以下の処方に変更し、患者に服薬指導した。
問208
薬剤師がこの患者に指導した内容についてSOAP形式で薬剤服用歴管理記録に記載した。(S)、(O)、(A)、(P)の項目と対応する内容の組合せとして、正しいのはどれか。1つ選べ。
- P:薬歴(3年前)に帯状疱疹でバラシクロビル塩酸塩錠500mgを服用しており、1日3回でもアドヒアランスが不良であった。
- O:1日5回飲むのは大変で忘れると思う。
- S:医師にアシクロビル錠400mg1日5回から、アメナメビル錠1日1回へ処方変更の提案をしたところ承諾を得た。
- A:アシクロビル錠400mg1日5回から、1日1回投与のアメナメビル錠が最適と判断した。
- S:患者にアシクロビル錠400mg1日5回から、アメナメビル錠1日1回へ変更になったことについて説明し、1回2錠を1日1回朝食後に飲むよう指導した。
問209
次のア~ウは、この患者に対して検討されたアシクロビル、バラシクロビル、アメナメビルの構造式のいずれかを示す。これらの薬物に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- アはイのプロドラッグであり、イに比べて1日の服用回数が少ない。
- ア及びイの構造に含まれる核酸塩基はグアニンである。
- ア~ウはすべて塩基性官能基をもつ。
- ウはDNA複製の基質として取り込まれ、ウイルスDNA鎖の伸長を阻害する。
- 今回最初に処方された薬物イが最終的にウに変更された。
正解.
問208:4
問209:4
解 説
問208
Sは、主観的情報(Subject)で、患者さんの言ったことです。
Oは、客観的情報(Object)です。患者さんに関する、服用歴などになります。
Aは、SとOを踏まえた、薬剤師の判断、行動(Assessment)です。
Pは、これからの計画(Plan)となります。(104-89)。
選択肢 1 は O です。
選択肢 2 は S です。
選択肢 3 は A です。
選択肢 4 は妥当です。A です。
選択肢 5 は P です。
以上より、正解は 4 です。
問209
イ+バリンで ア になっているため、イがアシクロビルで、アがバラシクロビルです。(104-212)。残ったウがアメナメビルです。これは判断できる必要があります。
アメナメビルは、ヘリカーゼ・プライマーゼ活性を直接阻害することで、二本鎖 DNA の開裂及び RNA プライマーの合成を抑制し、ヘルペスウイルスの増殖を初期段階で阻害します。 既存の抗ヘルペスウイルス薬とは異なる新規作用機序の薬です。従って、ウ はDNA 複製の基質として取り込まれるわけではありません。選択肢 4 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
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