問 題
表に示す特性を有する 2 種類の水溶性薬物の結晶性粉体 A、B がある。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。
ただし、粉体 A、B はいずれも結晶粒子内に空隙はなく、粒子密度と真密度は等しいものとする。また、粉体 A と B の相互作用はないものとする。
- 疎充てん時において、粉体Aのかさ比容積は粉体Bの 2 倍以上である。
- 疎充てん時において、粉体Aのかさ密度は粉体Bの 2 倍以上である。
- 粉体AとBの粒子形状が同じである場合、粉体Aの比表面積は粉体Bの 2 倍以上である。
- 70% の相対湿度下では、粉体Bの方が著しく吸湿しやすい。
- 粉体Aと粉体Bを 1:3 の質量比で混合した粉体の臨界相対湿度は 65% である。
解 説
粉を入れる容器の体積を勝手に設定するとわかりやすいです。100cm3 の容器を考えます。疎充てんとは、粉を上からさらさらっと容器に入れただけの充てんです。そのあとトントンとタッピングすると、粉の高さがだんだん落ちていくのですが、タッピング以前と考えてください。
選択肢 1 ですが
比容積とは、1g でどれだけ容積を占めるかです。とりあえず疎充てんして考えます。充てん率が それぞれ 0.8,0.5 とあるので、粉が A であれば 80cm3, B であれば 50 cm3 を占有します。すると、真密度をかけることで、粉の重さがわかります。80 × 1.6 = 128g、50 × 12 = 60g です。明らかに、1g 当たりで占める容積は B の方が大きくなります。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
選択肢 1 と同様に、とりあえず疎充てんして考えます。見かけ上、A,B 共に 100 cm3 の容器は粉でいっぱいです。そして、A の粉の重さ (128g) が、B の粉の重さ (60g) の 2 倍以上あるので、粉体 A のかさ密度は、粉体 B の 2 倍以上とわかります。
選択肢 3 ですが
比表面積は粒子径が小さいほど、大きくなります。従って、 A の方が小さくなります。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
臨界相対湿度とは、吸湿も乾燥もしない湿度のことです。言い換えると、これ以上の湿度になると、吸湿する湿度です。(98-276)。従って、70% の相対湿度下であれば、粉体 B のみ吸湿すると考えられます。
選択肢 5 ですが
混合物の CRH は、個々の CRH の積に等しいことが知られています。(101-174)。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,4 です。
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