問 題
トランスポーターを介した薬物輸送に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ペプチドトランスポーター PEPT1 によるバラシクロビル輸送の駆動力は、プロトン濃度勾配である。
- 有機アニオントランスポーター OAT1 によるメトトレキサート輸送は、ATP の加水分解エネルギーを駆動力として直接利用する。
- シクロスポリンは有機アニオントランスポーター OATP1B1 を阻害するため、プラバスタチンの肝臓への移行を抑制し、血中濃度を上昇させる。
- カルビドパは血液脳関門に発現する中性アミノ酸トランスポーター LAT1 を介して、脳へ移行する。
- シスプラチンは有機カチオントランスポーター OCT2 の基質であるため、ジゴキシンの尿細管分泌を競合的に阻害する。
正解.1, 3
解 説
選択肢 1 は妥当です。
H+/ペプチド共輸送体 PEPT1 についての記述です。
選択肢 2 ですが
OAT1 は、二次性能動輸送担体です。二次性能動輸送担体とは、ATPを加水分解することによって得たエネルギーを用いて、まず何らかのイオン勾配を作り出し、その勾配を利用して物質の輸送を実現する担体のことです。(104-42)。ATP の加水分解エネルギーを駆動力として直接利用するわけではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
シクロスポリンとプラバスタチンの相互作用についての記述です。(102-169)。
選択肢 4 ですが
LAT 1 により脳内移行するのは「レボドパ」です。(104-164)。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
シスプラチンは、OCT2 の基質です。尿細管分泌に関してジゴキシンが関連するトランスポーターは「P-gp」です。従って、競合的に阻害はしないと考えられます。(104-167)。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
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