薬剤師国家試験 第106回 問143 過去問解説

 問 題     

薬局開設者が、患者の同意なしでも薬剤服用歴等の患者の個人情報を第三者に提供可能な場合はどれか。1つ選べ。

  1. 先発医薬品の製造販売業者から、後発医薬品の使用状況についての開示を求められた場合
  2. 厚生労働大臣に対して、医薬品の副作用報告を行う場合
  3. 患者の勤務会社から、健康診断のために、患者の薬剤服用歴等について情報提供を求められた場合
  4. 患者が通う学校の教員から、患者の健康状態の把握のために、患者の薬剤服用歴等について情報提供を求められた場合
  5. 健康食品のマーケティング会社に対して、営利目的で生活習慣病の患者情報一覧を販売する場合

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

個人情報保護法 第二十三条 における第三者提供に関する問題です。(類題 102-334)。意識がなかったり、法に基づいた場合といった状況でないと、第三者提供は可能ではありません。

選択肢 1,3,4 ですが
製造販売業者から、単に使用状況を知りたくて開示を求められたり、会社や学校教員から、健康診断や健康状態の把握等のために開示を求められたりしても、開示してはいけません。ましてや、選択肢 5 のような、営利目的での販売は認められないと判断できるのではないでしょうか。

以上より、正解は 2 です。
医薬品副作用報告は、薬機法第 68 条の 10 第 2 項により定められている制度です。従って、個人情報保護法第 23 条第 1 項における除外要件に、選択肢 2 の行為は該当すると考えられます。

参考
第二十三条 
個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

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