薬剤師国家試験 第106回 問137 過去問解説

 問 題     

化学物質の環境内動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 生物濃縮の程度を示す指標である濃縮係数は、化学物質の環境中濃度と生体内濃度の差で表される。
  2. 1-オクタノール/水分配係数が小さい化学物質ほど、生物濃縮されやすい。
  3. 生物濃縮には、直接濃縮と間接濃縮があり、後者は食物連鎖によって引き起こされる。
  4. 直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸は、分岐型のものに比べ環境中の微生物による分解を受けにくい。
  5. DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)及びその代謝物は、動物の脂肪組織に残留しやすい。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
濃縮係数は、「物質の生体内濃度÷物質の環境中濃度」です。割合で表されます。(97-137)。差ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
1オクタノール/水分配係数が高ければ高いほど、脂溶性が高い物質です。そして、脂溶性が高い物質ほど、生物の脂肪などに溶けて濃縮されやすいといえます。小さいほど濃縮されやすいわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
食物連鎖を介する濃縮が間接濃縮です。(103-136)。

選択肢 4 ですが
直鎖型と、分岐鎖型では、直鎖型の方が生分解性はよいです。(98-135)。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
DDT は第一種特定化学物質の一つです。第一種特定化学とは「難分解性、高蓄積性及ぴヒト又は高次捕食動物への長期毒性を有する化学物質」のことです。

以上より、正解は 3,5 です。

コメント