問 題
ビタミンKは正常な生理機能の維持に不可欠であり、通常は必要量を食品から摂取している。
問124
ビタミンKの摂取及び過不足に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 緑色野菜などのビタミンKを多く含む食品の摂り過ぎによる過剰症が知られている。
- 肝・胆道疾患では、腸管からの吸収が低下すると、不足しやすい。
- 過剰摂取により、頭蓋内出血や消化管出血が起こることがある。
- 母乳中に多く含まれるため、母乳を授乳される新生児には不足は起こりにくい。
- 発酵食品である納豆は、ビタミンK2(メナキノン類)を多く含むので、食品からのビタミンKの供給源の一つである。
問125
ビタミンKの一種であるビタミンK2(メナテトレノン)に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- ヘキサンには極めて溶けやすいが、水にはほとんど溶けない。
- 光によって分解し、着色が強くなる。
- 還元されるとヒドロキノン型になる。
- 赤外吸収スペクトルにおいて、1500cm-1付近にカルボニル基に由来する吸収を示す。
- 2-メチル-1,4-ナフトキノンにイソプレン単位で構成されるプレニル基が結合している。
問126
ビタミンKの生理作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ビタミンKは、プロトロンビンの生成に関与する。
- ワルファリンによりビタミンK依存性凝固因子の生成が促進される。
- ビタミンKは、タンパク質のグルタミン酸残基の修飾に関与する。
- ビタミンKは、デヒドロゲナーゼの補酵素として働く。
- ビタミンKは、骨基質タンパク質オステオカルシンの分解を促進する。
正解.
問124:2, 5
問125:4
問126:1, 3
解 説
問124
選択肢 1 ですが
ビタミン E の過剰症は、あまり見られません。(97-16)。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
選択肢 3 ですが
血液をさらさらにするワルファリン投与時における、納豆やクロレラ食に伴う ビタミン K 過剰摂取でワーファリンの薬効減弱→血液凝固促進 という基礎知識の流れをふまえれば、「過剰摂取」で「出血傾向」ではないと判断できるのではないでしょうか。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
母乳中にビタミン K は豊富ではありません。(98-121)。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
納豆やクロレラが、ビタミン K が豊富な代表的食材です。
以上より、正解は 2,5 です。
問125
選択肢 4 が明らかに誤りです。
IR スペクトルにおいて、カルボニル基(C=O) に由来する吸収は、1,650 ~ 1,800cm-1 くらいのところです。(有機化学まとめ IRスペクトルの概要)。
以上より、正解は 4 です。
問126
選択肢 1 は妥当です。
ビタミン K は、プロトロンビンの合成において、補酵素として作用します。(98-121)。
選択肢 2 ですが
ワルファリンは血液をさらさらにする薬です。凝固因子生成が「促進」ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
選択肢 4 ですが
ビタミン K は、プロトロンビンの合成において、補酵素として作用します。(98-121)。具体的には、カルボキシル化酵素(ビタミンK依存性カルボキシラーゼ)の補酵素として働きます。デヒドロゲナーゼの補酵素としてではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
オステオカルシンは、骨芽細胞が生産する骨基質タンパク質です。ビタミン K 依存性タンパク質です。つまり、ビタミン K の存在が、合成を促進します。ビタミン K が、オステオカルシンの「分解」を促進するわけではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
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