薬剤師国家試験 第106回 問123 過去問解説

 問 題     

母子感染に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. 風しんウイルスは、主に経胎盤感染で胎児に感染し、先天性風しん症候群を引き起こすことがある。
  2. 妊娠の初期に妊婦がトキソプラズマ原虫に感染した場合、経胎盤感染によって胎児に重篤な症状が引き起こされることがある。
  3. 先天梅毒は、梅毒トレポネーマを原因菌とし、産道感染を介して新生児に伝播する感染症である。
  4. 成人T細胞白血病の原因ウイルスであるヒトT細胞白血病ウイルス-1型(HTLV-1)に妊婦が感染している場合、出生後は人工乳を授乳する。
  5. ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の母子感染には、経胎盤感染、産道感染及び母乳感染がある。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
経胎盤感染の代表例の1つが風しんです。(参考 衛生薬学のまとめ 母子感染)。風しんの原因は風しんウイルスです。

選択肢 2 は妥当です。
トキソプラズマは、TORCH 症候群の原因の1つです。TORCH 症候群は、経胎盤感染によって児に重篤な奇形や恒久的な臓器・神経・感覚器障害をきたすおそれのある疾患の1つです。(102-19)。

選択肢 3 ですが
梅毒も、TORCH 症候群の原因の1つです。従って、産道感染ではなく「経胎盤感染」によって、児に重篤な奇形や恒久的な臓器・神経・感覚器障害をきたすおそれがあります。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4,5 は妥当です。
参考)105-20

以上より、正解は 3 です。

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