106回薬剤師国家試験 問109解説

 問 題     

次の構造式で示す化合物Aに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 放線菌によって生産されるマクロライドである。
  2. 真菌によって生産される環状ペプチドである。
  3. Z配置の二重結合をもつ。
  4. ピロール環をもつ。
  5. ヘミアセタール構造をもつ。

 

 

 

 

 

正解.1, 5

 解 説     

化合物はタクロリムスです。(98-208209)。

選択肢 1 は妥当です。

選択肢 2 ですが
ペプチドであるならば、アミノ酸が複数結合しているものなので、ーCONー 結合(ペプチド結合)が複数あるはずです。しかし構造には、ーCONー結合は1つしかありません。よって、環状ペプチドではないと考えられます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
左上部、右上部の二重結合に注目すると、ともに 優先度の高い基が trans の関係にあると読み取れるのではないでしょうか。trans に対応するのは E-Z 表記では「E」です。Z ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ピロール環は、窒素を含む5員環です。(100-007)。左真ん中に見える窒素を含む飽和六員環は、ピペリジン環です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
左下部分に見られます。エーテル結合(C-O)と、CーOH を両方有する C の部分が、ヘミアセタール構造です。(105-121)。

以上より、正解は 1,5 です。

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