薬剤師国家試験 第106回 問93 過去問解説

 問 題     

日本薬局方において、ヒドロコルチゾンコハク酸エステル(下図)の確認試験及び純度試験は以下のように規定されている(一部省略)。この確認試験及び純度試験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

確認試験

⑴ 本品3mgに硫酸2mLを加えるとき、液は初め帯黄緑色の蛍光を発し、徐々に橙黄色を経て暗赤色に変わる。この液は紫外線を照射するとき、強い淡緑色の蛍光を発する。この液に注意して水10mLを加えるとき、液は黄色から橙黄色に変わり、淡緑色の蛍光を発し、黄褐色綿状の浮遊物を生じる。

⑵ 略

純度試験

類縁物質

本品25mgをとり、メタノール10mLを正確に加えて溶かし、試料溶液とする。別にヒドロコルチゾン25mgをとり、メタノール10mLを正確に加えて溶かす。この液1mLを正確に量り、メタノールを加えて正確に50mLとし、標準溶液とする。

これらの液につき、薄層クロマトグラフィーにより試験を行う。試料溶液及び標準溶液3nLずつを薄層クロマトグラフィー用[ ア ](蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする。

次にクロロホルム/エタノール(99.5)/ギ酸混液(150:10:1)を展開溶媒として約10cm展開した後、薄層板を風乾する。

これに紫外線(主波長[ イ ]nm)を照射するとき、試料溶液から得た主スポット以外のスポットは、標準溶液から得たスポットより濃くない。

  1. 確認試験は、試料中に含まれる不純物の限度あるいは量を調べる試験法である。
  2. 確認試験⑴は、ステロイドの確認反応である。
  3. [ ア ]に入るのは、「シリカゲル」である。
  4. 純度試験では、類縁ステロイドの混在が許される限度は5%である。
  5. [ イ ]に入る数値は、450である。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

選択肢 1,4,5 を誤りと判断したい問題です。

選択肢 1 ですが
確認試験は、医薬品又は医薬品中に含有されている有効成分などを、その特性に基づき確認するための試験です。不純物の限度や量を調べる試験ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,3 は妥当です。

選択肢 4 ですが
薄層クロマトグラフィーで展開して、紫外線照射した時の主スポット以外のスポットが、標準溶液から得たスポットより濃くなければよい、という方法なので、標準物質における類縁物質の混在比率がわからなければ、限度を「5%」と知ることができません。しかし、UV 照射結果を、目で見て比較をする試験なのだから「許される限度」という考え方がそもそもない試験と考えられます。選択肢 4 は誤りと考えられます。

選択肢 5 ですが
450 nm は、紫外線の波長ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

コメント