薬剤師国家試験 第106回 問57 過去問解説

 問 題     

肝臓のタンパク質合成能の指標となるのはどれか。1つ選べ。

  1. アルカリホスファターゼ (ALP)
  2. コリンエステラーゼ (ChE)
  3. クレアチンキナーゼ (CK)
  4. γ-グルタミルトランスペプチダーゼ (γ-GTP)
  5. 乳酸脱水素酵素 (LDH)

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

選択肢 1 ですが
ALPは、alkaline phosphatase の略です。ほとんどの臓器に含まれますが、肝臓などにおいて高活性です。又、胆汁に多く含まれています。胆道系疾患の指標として知られています。

選択肢 2 は妥当です。
コリンエステラーゼは大きく2種類に分類されます。真性コリンエステラーゼと、偽性コリンエステラーゼです。真性コリンエステラーゼは、アセチルコリンを特異基質として、酢酸とコリンに分解します。偽性コリンエステラーゼは、特異性がなく、コリンエステルを分解する酵素です。偽性コリンエステラーゼは、肝臓のみで合成されるという特徴があり、肝臓でのタンパク合成能の指標に用いられます。

選択肢 3 ですが
クレアチンキナーゼは、筋肉細胞に多く含まれる酵素です。高値は筋肉損傷を示唆します。

選択肢 4 ですが
γ-GTP は、γ-glutamyl transpeptidase の略です。飲酒によく反応する酵素です。アルコール性肝障害の指標としてよく知られています。

選択肢 5 ですが
LDH は、lactate dehydrogenase の略です。LDHには、5つのアイソザイム(酵素としての活性はほぼ同じだが、アミノ酸配列が異なる分子のこと)が存在し、それぞれが組織によって分布が異なるという特徴があります。その特徴を利用し、5つのアイソザイムのうち、どれが上昇しているかによって病変部位を推定することができます。

よく知られているアイソザイムと疾患の関連は以下のようになります。
LDH1,2が上昇→心筋梗塞など
LDH2,3が上昇→白血病など
LDH4,5が上昇→肝炎など

以上より、正解は 2 です。

参考 病態・薬物治療学のまとめ 代表的な肝機能検査

 

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