問 題
71歳男性。膵臓がんで入院治療していたが、本人の希望もあり退院し、自宅で緩和ケアを受けている。退院時は、以下の処方であった。
薬剤師が訪問したところ、痛みの評価は、NRS(数値スケール)で5、強い痛みがある場合は、モルヒネのレスキュー薬を使用していた。また、最近、「薬が飲みにくい」という訴えもある。本人は、毎日お風呂に入りたいという希望がある。
問324
薬剤師は、モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセルを中止して、他の薬剤への変更を医師に提案することにした。薬剤として適切なのはどれか。1つ選べ。ただし、変更時点では、増量は考えないものとする。
- フェンタニル1日用貼付剤(貼付用量4mg)
- フェンタニル1日用貼付剤(貼付用量2mg)
- フェンタニル1日用貼付剤(貼付用量1mg)
- フェンタニル3日用貼付剤(貼付用量4.2mg)
- フェンタニル3日用貼付剤(貼付用量2.1mg)
注) 以下を前提に計算すること
- オピオイドスイッチングを行う際の換算比は、経口モルヒネ対フェンタニルを100:1とする。
- フェンタニル貼付剤から1日あたりフェンタニルとして吸収される量は、1日用は貼付用量の約30%、3日用は貼付用量の約14%とする。
問325
その後、この患者が死亡し、患者の相続人から、薬剤が残っているので、薬局に返却したいとの申し出があった。確認したところ、残薬はフェンタニル貼付剤及び酸化マグネシウムであった。これらの薬剤の取扱いに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- フェンタニル貼付剤の返却には、都道府県知事の許可が必要であるため、申請するよう指導した。
- 返却されたフェンタニル貼付剤は、回収することが困難な方法で廃棄した。
- 返却されたフェンタニル貼付剤を薬局で廃棄したので、廃棄後30日以内に都道府県知事に届出を行った。
- 返却されたフェンタニル貼付剤は、まだ使用期限を過ぎていなかったので、仕入れをした卸売販売業者に返品した。
- 酸化マグネシウムは、まだ使用期限を過ぎていなかったので、必要に応じて相続人が服用してもよいと指導した。
正解.
問324:1
問325:2, 3
解 説
問324
毎日お風呂に入りたい という希望から、3日用は不適切と考えられます。正解は 1 ~ 3 です。
経口モルヒネ 120mg → フェンタニル 1.2mg です。1日用であれば、用量の 30% 吸収なので 1.2 ÷ 0.3 = 4.0mg 必要です。
以上より、正解は 1 です。
問325
選択肢 1 ですが
薬剤の返却に許可は不要です。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2,3 は妥当な記述です。(97-313)
選択肢 4 ですが
麻薬の譲渡・譲受については法律で厳しく規制されており、麻薬卸売業者への返品はできません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
処方された人ではないため、不適切です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,3 です。
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