薬剤師国家試験 第105回 問298-299 過去問解説

 問 題     

60歳男性。身長160cm、体重60kg。40歳頃に糖尿病と診断され、経口糖尿病薬の内服を開始した。50歳頃に腎障害を指摘され、55歳頃に、目のかすみ、眼性疲労、眼痛を自覚したため眼科を受診した。

検査値はHbA1c 6.5%(NGSP値)、血清クレアチニン値 1.2mg/dLであった。

眼圧が右 23mmHg、左 28mmHgで、視野欠損が認められ、閉塞隅角緑内障に対し、ラタノプロスト点眼液0.005%とチモロールマレイン酸塩点眼液0.25%による治療が開始されていた。

問298

この患者の眼科受診時の病態として可能性が高いのはどれか。2つ選べ。

  1. 眼圧は正常値より低い。
  2. 角膜が混濁している。
  3. 隅角が狭まり房水の流出路が閉ざされたことで、眼痛が起きている。
  4. 水晶体混濁が認められる。
  5. 眼底検査で網膜視神経線維欠損が認められる。

問299

最近、仕事が多忙で通院が滞りがちになっていたところ、朝から特に誘因なく急激な頭痛があり、嘔吐したため、総合病院を緊急受診し、急性閉塞隅角緑内障の発作と診断された。

受診時の血液検査では、HbA1c 7.2%(NGSP値)、血清クレアチニン値 1.7mg/dLであり、糖尿病と腎機能の悪化も認めている。

この患者に最初に行う治療法として最も適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. 20%マンニトール300mLを60分かけて点滴静注する。
  2. ロキソプロフェンナトリウム錠60mgを内服する。
  3. 濃グリセリン・果糖配合製剤500mLを60分かけて点滴静注する。
  4. アセタゾラミドナトリウム注射用500mgを静注する。
  5. ピレノキシン点眼液0.005%を点眼する。
正解の選択肢が2つあるため、どちらか一方を選べば正解となった問題です。

 

 

 

 

 

正解.
問298:3, 5
問299:1, 4

 解 説     

問298

選択肢 1 ですが
緑内障なので、眼圧は「高い」と考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,4 ですが
角膜、水晶体については特に混濁する理由が読み取れません。よって、選択肢 2,4 は誤りです。

以上より、正解は 3,5 です。

問299

選択肢 1 は妥当な記述です。
高浸透圧製剤です。房水排出を促し、眼圧低下を促します。

選択肢 2 ですが
頭痛をおさえようという意図と考えられますが、房水排出を優先すべきと考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
果糖配合製剤を点滴すると急激な血糖上昇のおそれがあり、糖尿病患者には誤った治療法と考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。
炭酸脱水酵素阻害薬です。房水産生を減らし、眼圧を減らします。

選択肢 5 ですが
ピノレキシンは白内障進行抑制に用いられる点眼薬です。緑内障発作と診断されているこの患者への使用は適切ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

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