薬剤師国家試験 第105回 問244-245 過去問解説

 問 題     

医療従事者が入院患者の採血を行い、患者の血液が付着した針を廃棄しようとした際、誤って指に針を刺してしまった。そこで、針刺し事故対応マニュアルに従い対処することになった。

診療録で当該患者の情報を確認したところ、血中HBs抗原とHBe抗原がともに陽性であった。受傷した医療従事者は10年前にB型肝炎ワクチンの接種歴があるが、血中抗HBs抗体価を調べたところ、陰性であった。

問244

感染制御部から薬剤部に対し、必要な薬剤確保の依頼があった。この受傷者に対して投与する薬剤の組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。

問245

下記のうち、感染性廃棄物として廃棄する必要がないのはどれか。1つ選べ。

  1. この患者に使用した輸液セットのチューブ及び針
  2. この患者の血液が付着したので、高圧蒸気法で滅菌処理したガーゼ
  3. 受傷者の傷口の洗浄、消毒に使用したガーゼ
  4. 受傷者の抗HBs抗体の検査の際に血液を扱った器具
  5. 受傷者への薬剤投与のために包装を開封したが、使用しなかった注射針

 

 

 

 

 

正解.
問244:6
問245:2

 解 説     

問244

当該患者の HBs,HBe 抗原がともに陽性なので、B 型肝炎ウイルス感染のおそれがあります。受傷した医療従事者の抗体価が陰性なので、抗HBs 人免疫グロブリンによる感染予防、及び B 型肝炎ワクチンの投与による免疫獲得 が必要と考えられます。

以上より、正解は 6 です。

問245

感染性廃棄物について、滅菌処理した事が明らかとなれば感染性廃棄物には該当しないものとしてみなされます。(99-245) 従って、高圧蒸気法で滅菌処理したガーゼであれば、感染性廃棄物として廃棄する必要はありません。

選択肢 5 について判断がつかなくて悩むかもしれません。

医療器材としての注射針等については、メカニカルハザードについて十分に配慮する必要があるため、感染性廃棄物と同等の取扱いとするとされています。

メカニカルハザードとは、医療系廃棄物のうち、鋭利な形状を有する注射器、メス、ガラスくず等による作業者の刺傷事故の危険性のことです。

鋭利なものについては、未使用のもの、血液が付着していないもの又は消毒等により感染性を失わせたものであっても、感染性廃棄物と同等の取扱いとします。よって、選択肢 5 は「必要あり」となります。

以上より、正解は 2 です。

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