薬剤師国家試験 第105回 問146 過去問解説

 問 題     

患者の自己決定に関する医療従事者の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 患者が自己決定をした場合、その決定がもたらす結果を説明する。
  2. 患者の性格やそのときの心理状態に配慮し、意思決定しやすい環境を確保する。
  3. 患者は医療に関する知識が乏しいので、患者の意向を聞かず、医療従事者のみの判断で全ての方針を決定する。
  4. 患者の家族が同居していれば、患者本人の意向にかかわらず家族の意向を優先する。
  5. 患者と医療従事者の関係性を強化するためにパターナリズムの原則に従う。

 

 

 

 

 

正解.1, 2

 解 説     

選択肢 1,2 は適切です。

選択肢 3 ですが
「自己」決定なんだから、医療従事者のみの判断で決定してはおかしいと判断できるのではないでしょうか。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
「自己」が家族ではないでしょう、という話です。ただ、これは示唆深い記述と思うのですが、「自己の大部分が家族」って人は少なくなくって、そこにむりやり「個人としての自己」のみに判断させようとするのは、本当の自己判断とは違う、というのも考慮が必要だと思います。

判断って、必要な情報が揃っていたら悩む必要ないんですよね。

一例なんですが「○○さんが大切にしたいのって、自分だけでなく、自分もご家族の方も満足できるような決断がどうか、ということで、だからこそ△△で本当によいのか、この場で決めかねているのではないですか。お互いが状況を改めて理解、確認しあい、共に納得のいく結論が出せるまで判断を留保したい、というご希望であればそう医師にも伝えてみましょうか。」といったシチュエーションなどがありそうです。

試験としては「患者本人の意向にかかわらず」は、どう考えても適切ではないだろう、という点に注目して誤りと判断するとよいかもしれません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
パターナリズムとは、本人の意思に関わりなく、本人の利益のためにと考えて意思決定をすることです。父と子の間のような、保護、支配の関係です。よって、選択肢 5 は誤りです。(98-150)

以上より、正解は 1,2 です。

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