薬剤師国家試験 第105回 問102 過去問解説

 問 題     

図は、アルケンAからアルコールC又はアルコールDを合成する経路を示している。この経路に含まれる反応又は化合物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. アルケンAから中間体Bが生じる反応はanti付加反応である。
  2. 中間体BからアルコールCが生じる反応は酸化反応である。
  3. アルコールCはラセミ混合物である。
  4. アルコールCはアルコールDのジアステレオマーである。
  5. アルコールDはメソ化合物(メソ体)である。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

選択肢 1 ですが
ヒドロホウ素化は syn 付加です。anti 付加ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。
ヒドロホウ素化ー酸化 です。

選択肢 3 は妥当な記述です。
syn 付加において、上から H,BH2 が付加するか、下から付加するかが半々です。そのため、立体が逆のものが半々できて、ラセミ混合物です。

選択肢 4 ですが
アルコール D は、硫酸触媒による水付加なので、マルコフニコフ則に基づいて OH 基が付加します。すなわち、メチル基がもともとある方に OH 基が付加します。従って、C とはそもそも立体異性体の関係にありません。そのため当然、ジアステレオマーではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
メソ化合物とは、キラル中心を持つが、対象面も有するために光学活性を示さない化合物の総称です。メチル基がついている方に OH 基が付加すると、キラル炭素が1個できますが、分子全体に対称面はありません。従って、メソ化合物ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

参考)有機化学まとめ 立体特異性・位置選択性

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