問 題
58歳男性。入院中にヘリコバクター・ピロリの一次除菌を行うことになった。現在処方されている薬剤があり、除菌時の治療薬の選択について医師から薬剤師に問合せがあった。処方は、以下の薬剤を考えているとのことであった。
なお、この病院ではDiagnosis Procedure Combination(DPC;診断群分類)制度に基づいて、入院患者の診療報酬を請求している。
- アモキシシリン水和物
- クラリスロマイシン
- 薬物A
<現在の処方薬>
- クロピドグレル硫酸塩
- プラバスタチンナトリウム
- カルベジロール
問308
現在の処方薬を考慮して、薬剤師が薬物Aとして推奨するのに適切なのはどれか。2つ選べ。
- オメプラゾール
- ファモチジン
- ポラプレジンク
- ラベプラゾールナトリウム
- ランソプラゾール
問309
DPC制度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 傷病名と診療行為に基づいて包括払い金額が決まる仕組みである。
- 入院中に使用する薬剤は、出来高払いで請求する。
- 手術・麻酔の費用は、出来高払いで請求する。
- 入院期間が長くなっても、包括払い金額は同じである。
- 全ての病院が、この制度を利用している。
正解.
問308:4, 5
問309:1, 3
解 説
問308
ピロリ一次除菌なので、「PPI(プロトンポンプインヒビター)+ アモキシシリン + クラリスロマイシン」です。選択肢 1,4,5 のうち2つが正解とわかります。
「現在の処方薬」にクロピドグレルが含まれています。オメプラゾールは CYP2C19 阻害により、クロピドグレル活性代謝物の血中濃度減少が知られています。(類題 102-304305)このため、作用減弱のおそれがあり併用注意となっています。これをふまえると、オメプラゾールを除く 2 種類の PPI を推奨すべきと考えられます。ラベプラゾール、ランソプラゾールも代謝の CYP2C19 は関与します。しかし、関与の程度が異なり、より影響が少ないと考えられます。
以上より、問308 の正解は 4,5 です。
※本試験時点において、治験の結果などをふまえ、クロピドグレル(プラビックス)+オメプラゾールでの処方も見られます。
問309
DPC とは、Diagnosis Procedure Combination の略です。診断群分類に基づく、1日当たり定額報酬算定制度のことです。現時点において、「入院に関しての制度」であり、外来は出来高払いです。看護師配置数規準等を満たす必要があり、全ての病院がこの制度を利用しているわけではありません。原則として、入院日数が長くなるほど、1日当たりの報酬が低くなり、入院日数短縮を指向する制度といえます。
選択肢 1 は妥当な記述です。
選択肢 2 ですが
「入院中」なので、包括払いになります。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当な記述です。
選択肢 4 ですが
入院期間が長いほど、1日当たりの金額は少なくなります。それに伴い、金額が期間により変わります。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
全ての病院ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、問309 の正解は 1,3 です。
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