問 題
45歳男性。結腸がんによる結腸切除術後に全身に転移が見られ、処方1により疼痛コントロールを行っていた。今回、疼痛増悪による疼痛コントロール目的で入院となり、処方2に変更となった。
入院時に薬剤師が行った痛みの評価では、「午後になると痛みが強くなる、NRS(Numerical Rating Scale):8/10」、「どのタイミングか不明だが突然痛みが出る。痛みが出始めるとすぐに強い痛みとなる、NRS:8/10」とのことであった。
処方2の薬剤服用開始後に行った評価は、「午後になると強くなる痛みは改善、NRS:3/10」、「突然痛くなる状況は変化がない、NRS:8/10」であり、この結果を受けて緩和ケアチームで患者の処方を検討することになった。
問284
緩和ケアチームの薬剤師は、オキシコドン塩酸塩水和物散からの処方変更を提案した。代替の薬剤として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- フェンタニル経皮吸収型製剤
- フェンタニルクエン酸塩舌下錠
- モルヒネ硫酸塩水和物徐放性細粒
- モルヒネ塩酸塩水和物坐剤
- モルヒネ塩酸塩注射液
問285
前問での提案の理由として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- 初回通過効果の回避
- 有効血中濃度の持続
- 速やかな薬効の発現
- バイオアベイラビリティの改善
- 副作用の回避
正解.
問284:2
問285:3
解 説
問284
問285 とまとめて解説します。
問285
がん性疼痛を強オピオイドでコントロールしているが、突出痛に対し、コントロール不能状態の患者です。突出痛は、発生が急で、持続時間が短く、数十分のうちに自然に軽減することが特徴です。
そのため、オキシコドン散という「散剤」よりも、より速く血中濃度が有効濃度に達するような剤形を用いることで、速やかな薬効発揮を期待します。さらにモルヒネと比較すると、フェンタニルは活性代謝を受ける必要がない点も、速やかな薬効発現という点からより推奨できると考えられます。具体的には、アブストラル舌下錠が想定されます。
以上より、問284 の正解は 2 です。
問285 の正解は 3 です。
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