薬剤師国家試験 第104回 問214-215 過去問解説

 問 題     

50歳女性。3ヶ月前から、ふくらはぎがつることで眠れないなどの症状が出たので、市販の漢方薬Aを服用していた。今回、両下腿浮腫が発現したので、近医を受診し、胸部レントゲン検査にて心拡大を認めたため入院となった。

血圧 160/64mmHg、脈拍 78回/分、血清カリウム値 3.1mEq/L。動脈血ガス検査にて代謝性アルカローシスを認めた。心電図は正常。心臓超音波検査にて、心機能正常だが心嚢液貯留を認めた。

問214

漢方薬Aはどれか。1つ選べ。

  1. 芍薬甘草湯
  2. 八味地黄丸
  3. 半夏厚朴湯
  4. 大建中湯
  5. 牛車腎気丸

問215

前問における漢方薬A服用後の症状の発現の原因となる生薬成分は、腸内細菌による加水分解を受けたのちに吸収される。加水分解後の化学構造はどれか。1つ選べ。

 

 

 

 

 

正解.
問214:1
問215:5

 解 説     

問214

ふくらはぎがつる という症状に対しての市販漢方薬なので「芍薬甘草湯」と考えられます。

以上より、問214 の正解は 1 です。

ちなみに、芍薬甘草湯の構成生薬はシャクヤク+カンゾウです。筋肉のけいれんなどに用いられます。

八味地黄丸の構成生薬は、地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)、桂皮(けいひ)、附子(ぶし)です。尿量減少、多尿などに用いられます。

半夏厚朴湯の構成生薬は、ハンゲ、ブクリョウ、コウボク、ソヨウ、ショウキョウです。気分がふさぐ、のどのつかえ感などに用いられます。

大建中湯の構成生薬は、人参(ニンジン)、山椒(サンショウ)、乾姜(カンキョウ)、膠飴(コウイ)です。腹痛、お腹のハリなどに用いられます。

牛車腎気丸は、「八味地黄丸」に牛膝(ゴシツ)と車前子(シャゼンシ)を加えたものです。尿量減少、むくみ、口渇などに用いられます。

問215

カンゾウの有効成分であるグリチルリチンについての記述と考えられます。ステロイド様の構造から、選択肢 5 を選べるとよいです。(4,5 で悩む所かと思います。4 はずばりウルソデオキシコール酸の構造と読み取りたい所です。)

選択肢 1 は
バイカレインの構造です。(101-109)

選択肢 2 は
ゲニピンの構造です。クチナシ属の抽出物に見られます。

選択肢 3 は
サントニンの構造です。かつて用いられていた駆虫薬です。

選択肢 4 は
ウルソデオキシコール酸の構造です。これは読み取りたい構造です!

選択肢 5 は妥当な記述です。
加水分解を受けた後なので、糖が外れています。グリチルレチン酸の構造です。

以上より、問215 の正解は 5 です。

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