薬剤師国家試験 第104回 問210-211 過去問解説

 問 題     

35歳女性。数日前から咳き込むようになった。市販の咳止め薬を服用していたが、治まらないので病院を受診したところ、呼吸器科で気管支喘息と診断され、以下の処方箋を持って薬局を訪れた。

薬剤師が面談したところ、過去に内服ステロイド薬により満月様顔貌(ムーンフェイス)などの副作用を経験したことが分かった。今回処方された吸入ステロイド薬についても副作用を心配している。なお、この女性は今回初めて吸入薬を使用する。

問210

この患者に対する服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. この吸入薬は、内服ステロイド薬よりムーンフェイスになりにくいです。
  2. 吸入後にうがいをすると効果が減弱するので、うがいをしないで下さい。
  3. ピークフローメーターにより得られた測定値と測定時の症状を、喘息日記に記載してください。
  4. この吸入薬は咳が出なくなったら、吸入しなくても良いです。
  5. この吸入薬は咳がさらにひどくなった場合、追加で1日3回まで吸入しても良いです。

問211

ブデソニドは肝臓において、活性が低く水溶性の高い代謝物に代謝され、速やかに排泄される。主な代謝経路で起こる反応について正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. アセタール構造が開裂する。
  2. α-ヒドロキシケトン構造が互変異性を起こす。
  3. 1位の二重結合が還元される。
  4. 11位のヒドロキシ基が脱離する。
  5. 21位のヒドロキシ基が酸化される。

 

 

 

 

 

正解.
問210:1, 3
問211:1

 解 説     

問210

選択肢 1 は妥当な記述です。
吸入なので、全身性の副作用はほぼないと考えられます。

選択肢 2 ですが
口腔内に付着、残留することで、カンジダ発生などのおそれがあります。そのため、吸入後のうがいが推奨されます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
症状がない時も、気道炎症を抑えるために継続して使用します。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
咳がひどくなった場合、リリーバーの使用が妥当と考えられます。判断のために改めて受診するよう指導しておくべきと考えられます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、問210 の正解は 1,3 です。

問211

選択肢 1 は妥当な記述です。
アセタールとは ORが2つついている構造のことです。右上の5員環部分です。開裂して、2つの O が OH になることで、水溶性も高くなると考えられます。

選択肢 2 ~ 5 ですが
互変異性したとして、水溶性がそれほど変わらないのではないかと考えられます。
二重結合が還元しても、アルケン→アルカンと考えると、水溶性は変わらないと思われます。
ヒドロキシ基が脱離すると、アルコール→アルケンなので、疎水性が高くなると考えられます。

以上より、問211 の正解は 1 です。

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