問 題
65歳男性。労作時胸部圧迫感を訴え医療機関を受診している。冠動脈造影により左冠動脈前下行枝に75%の強度狭窄を認め、以下の処方薬を服用していた。
3週間後に狭窄部分を押し広げる治療法である経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による薬剤溶出ステント留置を行う目的で病院に入院することになった。
問208
入院後に持参薬(上記処方)に関するPCI施行前後の服薬計画を立案するにあたって、薬剤師から医師に提案する内容として正しいのはどれか。2つ選べ。
- PCI施行前日までは、両持参薬とも内服する必要はありません。
- PCI施行前にプラスグレル塩酸塩錠を増量する必要はありません。
- PCI施行後もアスピリン腸溶錠、プラスグレル塩酸塩錠の服用を継続する必要があります。
- PCI施行後はプラスグレル塩酸塩錠のみ服用を継続する必要があります。
- PCI施行後はアスピリン腸溶錠のみ服用を継続する必要があります。
問209
プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換されて効果を発揮するプロドラッグである。以下の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- プラスグレルはチエノピリジン系医薬品である。
- プラスグレルから代謝物Aへの変換にはプロテアーゼの作用が必須である。
- 代謝物Aと代謝物Bとは互変異性体の関係にある。
- 代謝物Bにはジアステレオマーが存在する。
- 活性代謝物Cは血小板の標的タンパク質と共有結合する。
正解.
問208:2, 3
問209:2
解 説
問208
選択肢 1 ですが
手術前に休薬が必要か、という問題ですが、PCI は出血リスクが低いため、休薬の必要はないと考えられます。また、ステント留置により血栓リスクがあるため、抗血栓薬の血中濃度が保たれている方がよいと考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当な記述です。
増量の必要は特にないと考えられます。
選択肢 3 は妥当な記述です。
ステント留置による血栓リスクがあるため、抗血栓薬服用を継続します。
選択肢 4,5 ですが
両方の服用を継続します。よって、選択肢 4,5 は誤りです。
以上より、問208 の正解は 2,3 です。
問209
選択肢 1 は妥当な記述です。
選択肢 2 ですが
プラスグレルから、代謝物 A は「エステルの加水分解」です。従って、エステラーゼと考えられます。プロテアーゼではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ~ 5 は妥当な記述です。
ケトーエノール互変異性です。
不斉炭素 2 個あるため、RRとRSのようなジアステレオマーが存在すると考えられます。
血小板表面の P2Y12 受容体に作用します。
以上より、問209 の正解は 2 です。
類題 102-304305
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