薬剤師国家試験 第104回 問181 過去問解説

 問 題     

22歳男性。小児期よりインスリンの皮下注射を毎朝施行していた。就職して不規則な生活が続き、ある朝、倒れているのを発見され病院に搬送された。

搬送時所見として、意識不鮮明で、呼びかけに応じなかった。血圧90/60mmHg、呼吸数20/分、脈拍110/分、血糖値720mg/dLであった。尿カテーテルを挿入し、尿検査を実施したところ、尿糖(+++)、タンパク(+)、ケトン体(+++)を認めた。

搬送時に動脈血液ガス分析を施行した時のpHの値に最も近いと考えられるのはどれか。1つ選べ。

  1. 8.0
  2. 7.7
  3. 7.4
  4. 7.1
  5. 6.0

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

高血糖→「ケトアシドーシス」がおきたと考えられます。血液の pH 正常値は 7.35 ~ 7.45 ぐらい という知識は基礎知識です。pH は「7.35 ~ 7.45 よりも酸性側」です。6.0 までは下がらないだろうと考えて、選択肢 4 を選べると考えられます。ちなみに、糖尿病によるケトアシドーシスの発生は以下のような流れでおこります。

インスリンが欠乏しているためブドウ糖の利用ができない→エネルギー源として、脂肪酸で代用する→過剰に脂肪酸を代謝すると、代謝産物であるアセチル CoA の一部が別経路で代謝されてケトン体(アセト酢酸など)がたくさん作られる→血液が酸性に傾く という流れです。

以上より、正解は 4 です。
類題 99-181

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