問 題
45歳女性。健康診断で肥満、高血圧及び高血糖を指摘され、近医を受診した。高血圧症及び2型糖尿病と診断され、アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬とジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬の投与が開始された。
しかし、3ヶ月間服薬しても期待した治療効果が得られなかったため、大学病院に紹介受診となった。診察の結果、丸顔と中心性肥満が認められ、二次性高血圧が疑われた。MRI検査により下垂体の腫瘍と、腹部CT検査により両側副腎の腫大を認めた。
本症例の空腹時血液検査データで、高値を示す可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
- コルチゾール
- カテコールアミン
- アルドステロン
- TSH
- ACTH
解 説
丸顔、中心性肥満あたりをキーワードに、「ステロイドの副作用」が連想されることが期待されます。下垂体の「腫瘍」から、下垂体の機能が亢進している、と読み替えます。さらに、副腎の腫大から、副腎の機能が亢進している、と読み替えます。すると、副腎皮質ホルモン関連が高値を示すのではないかと判断できるのではないでしょうか。
これらの症状から「クッシング症候群」と読み解き、原因がクッシング病であれば、副腎皮質刺激ホルモンの過剰産生、及びそれに伴う副腎皮質ホルモンの高値となるだろうと考えることができます。
選択肢 1 は妥当です。
コルチゾールは、医薬品のステロイドとしても用いられる副腎皮質ホルモンです。高値を示すと考えられます。
選択肢 2 ですが
カテコラミンは、アドレナリンなどの総称です。高値ではないと考えられます。
選択肢 3 ですが
アルドステロンは、鉱質コルチコイドです。丸顔や中心性肥満とは関係がなく、高値ではないと考えられます。
選択肢 4 ですが
TSH は、甲状腺刺激ホルモンです。高値ではないと考えられます。
選択肢 5 は妥当です。
ACTH は、副腎皮質刺激ホルモンです。高値を示すと考えられます。
以上より、正解は 1,5 です。
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