薬剤師国家試験 第104回 問154 過去問解説

 問 題     

虚血性心疾患治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ニトログリセリンから産生される一酸化窒素は、血管平滑筋のグアニル酸シクラーゼ活性を阻害することで心臓の前負荷を軽減する。
  2. ニコランジルは、ATP感受性K+チャネルを開口することで冠動脈を拡張させる。
  3. アテノロールは、血管平滑筋のアドレナリンα2受容体を遮断することで末梢血管抵抗を減少させる。
  4. ジルチアゼムは、心筋細胞のCa2+チャネルを遮断することで心機能を抑制する。
  5. ジピリダモールは、冠動脈のアデノシンA2A受容体を直接刺激することで冠動脈を拡張させる。

 

 

 

 

 

正解.2, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
一酸化窒素(NO) は、血管平滑筋のグアニル酸シクラーゼを「活性化」します。その結果 GTP からの cGMP 生成が促進されます。そして、冠動脈の血管拡張が引き起こされます。グアニル酸シクラーゼ活性の「阻害」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。

選択肢 3 ですが
アテノロールは、選択的 β1  遮断薬です。α2 遮断ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
ジピリダモールは、アデノシン増強薬です。アデノシンの分解を抑制するなどにより冠動脈に存在する A2 受容体へのアデノシン結合量を増加させ冠血管拡張を引き起こしそれにより心筋への酸素供給量を増加させます。「受容体を直接刺激」するわけではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,4 です。
類題 98-158
参考)薬理まとめ 代表的な虚血性心疾患治療薬

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