薬剤師国家試験 第103回 問165 過去問解説

 問 題     

図は、カテコールアミンの生合成・代謝経路を示している。ただし、A~Eは化合物を、ア~エは酵素を示している。パーキンソン病治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ベンセラジドは、エを阻害してEの生成を抑制し、シナプス間隙でのBの濃度を上昇させる。
  2. セレギリンは、イを阻害して末梢でのBの生成を抑制する。
  3. エンタカポンは、ウを阻害して末梢でのDの生成を抑制する。
  4. ドロキシドパは、血液-脳関門を通過し、脳内でイによりCに変換される。
  5. イストラデフィリンは、アの発現上昇を介してAの生成を促進する。

 

 

 

 

 

正解.3, 4

 解 説     

生合成・代謝経路の一番上は、チロシンです。ア がチロシン水酸化酵素で、A が L-DOPA、イが芳香族 L – アミノ酸脱炭酸酵素で、B が DOPA、C が ノルアドレナリンです。ウが COMT で、D が 3 – O – メチルドパです。エが MAO,アルデヒド酸化酵素 で、E が 3,4 – ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)です。

選択肢 1 ですが
ベンセラジドは、L-DOPA の代謝酵素阻害薬です。エを阻害ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
セレギリンは MAO-B 阻害薬です。イを阻害ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 は、正しい記述です。

選択肢 5 ですが
イストラデフィリン(ノウリアスト)は、アデノシン A2A 受容体拮抗薬です。線条体及び淡蒼球において当該受容体を遮断することにより、興奮した状態にある線条体出力細胞の働きを抑制することで線条体出力細胞の活動を正常な状態に近づけます。レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病における、ウェアリングオフ現象(薬が効かない時間が出てくる現象)の改善に用いられます。アの発現上昇を介して といった作用ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3,4 です。

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