問 題
統合失調症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ハロペリドールは、黒質-線条体ドパミン神経系を介する過剰な神経伝達を抑制することで陽性症状を改善する。
- クエチアピンは、セロトニン5-HT2A受容体、ヒスタミンH1受容体及びアドレナリンα1受容体を遮断する。
- アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT1A受容体に対して部分刺激薬として作用する。
- パリペリドンは、主に大脳皮質のセロトニン5-HT2A受容体を刺激することで陰性症状を改善する。
- クロルプロマジンは、腹側被蓋野-側坐核ドパミン神経を介する過剰な神経伝達を抑制することで制吐作用を示す。
正解.2, 3
解 説
選択肢 1 ですが
黒質ー線条体系は、運動機能を担う部分です。この系の神経伝達がうまくいかなくなると「パーキンソン症候群」が見られるようになることがあります。陽性症状とは幻覚や幻聴などです。主にドパミン関与と考えられています。
ハロペリドールは、ブチロフェノン誘導体です。強い D2 遮断作用を示し陽性症状に特に効果が期待されます。ハロペリドールが「黒質ー線条体を介する過剰な神経伝達を抑制することで」陽性症状を改善する わけではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2,3 は、正しい記述です。
選択肢 4 ですが
パリペリドン(錠剤がインヴェガ、注射剤がゼプリオン)は、SDA(Serotonin-Dopamine Antagonist)の一種、リスペリドンの主活性代謝物です。「遮断」薬であり、刺激ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
腹側被蓋野(ふくそくひがいや)は、報酬系を司ると考えられています。クロルプロマジンは、色々な受容体遮断作用を持ちます。制吐作用もあります。しかし、腹側被蓋野神経系の抑制と制吐作用は関連がないと考えられます。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,3 です。
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