薬剤師国家試験 第103回 問116 過去問解説

 問 題     

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. HIVは、ゲノムとして二本鎖RNAをもつ。
  2. HIVは宿主細胞表面のToll様受容体に結合し、細胞内に侵入する。
  3. ウイルスがもつ逆転写酵素により生成したDNAは、宿主細胞の染色体に組み込まれる。
  4. ウイルス表面に発現するノイラミニダーゼが、宿主細胞への吸着に必要である。
  5. HIVは、CD4陽性T細胞に感染する。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
HIV は「一本鎖RNA」をゲノムとして保有するウイルスです。二本鎖ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
HIVは、細胞表面の CD4 という糖タンパク質に結合します。Toll 様受容体ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

ちなみに、Toll 様受容体とは、動物の細胞表面にある受容体で自然免疫機構における、異物の感知を担っています。好中球、マクロファージ、樹状細胞などで発現しています。ちなみに、Toll はドイツ語で”規格はずれな”の意味とのことです。

選択肢 3 は、正しい記述です。

選択肢 4 ですが
ノイラミニダーゼは「インフルエンザウイルス」が保有する酵素です。ウイルス増殖プロセスの中でも遊離する際に細胞表面の糖タンパク質を切断する役割を持つ酵素です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、正しい記述です。

以上より、正解は 3,5 です。

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