薬剤師国家試験 第103回 問96 過去問解説

　問 題　　　　　

0.01 mol/L 塩化アンモニウム水溶液の pH に最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、アンモニアの pK_b を4.70、水のイオン積 K_w を1.00×10^-14 (mol/L)² とする。

1. 3.65
2. 5.65
3. 8.35
4. 9.30
5. 10.35

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

弱酸 HA の電離による pH、弱塩基 B の電離による pH、弱酸と強塩基から生じた塩のpH、強酸と弱塩基から生じた塩の pH の ４ パターンについては、公式を覚えて対応するのがよいと思われます。

・弱酸 HA の電離による pH →［H⁺］＝√（Ka・C）
・弱塩基 B の電離による pH →［OH^ー］＝√（Kb・C）なので、［H⁺］＝Kw／√（Kb・C）
・弱酸と強塩基から生じた塩のpH → 弱塩基による電離と同じ。
・強酸と弱塩基から生じた塩のpH → 弱酸による電離と同じ。 　となります。
※ 大前提となるのは Ka・Kb = Kw です。Kw とは、水のイオン積のことです。また、pH のように小文字の p を付けるのは「ーlog₁₀」という意味です。

本問では、塩化アンモニウム、すなわちアンモニアと塩酸の塩なので「強酸と弱塩基から生じた塩」の pH です。この場合の公式は［H⁺］＝√（Ka・C）です。pKb = 4.70 なので、Kb は、10^ー4.70です。従って、Kaは、10^ー9.30 とわかります。C は 0.01 = 10^-2 です。

従って、Ka・C = 10^ー9.30 ・10^-2  = 10^ー11.30 です。√　をとれば、10^-5.65  となります。これが［H⁺ ］なので、pH は 5.65 です。従って、正解は 2 です。

ちなみに、公式を忘れていても、強酸と弱塩基の塩であることから少なくとも酸性側とわかるので選択肢 3 ~ 5 はありえません。