薬剤師国家試験 第102回 問314-315 過去問解説

 問 題     

麻薬診療施設である病院の病棟において、がん患者に対して生理食塩液で希釈したモルヒネ塩酸塩注射液の持続静注を行った。その後、看護師がルート周辺を確認したところ、シリンジと三方活栓の接続部から薬液が多量に漏れ出ていた。

問314

この状況において看護師から助言を求められた薬剤師の対応として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

  1. 主治医に報告したかを確認する。
  2. 患者の痛みの状態を確認する。
  3. 回収した薬液は看護師2人で確認しながら廃棄をするよう伝える。
  4. 麻薬管理者に状況を報告したかを確認する。
  5. 一連の経過を記録しておくよう伝える。

問315

麻薬診療施設における麻薬の管理者に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 2人以上の麻薬施用者が診療に従事する麻薬診療施設の開設者は、当該麻薬診療施設に麻薬管理者を置かなければならない。
  2. 管理している麻薬を廃棄する際には、廃棄してから30日以内に厚生労働大臣に届け出なければならない。
  3. 麻薬の滅失や盗取等の事故が発生した場合における、麻薬管理者が行う品名及び数量等の届け出先は、厚生労働大臣である。
  4. 麻薬管理者は事故の届け出をした麻薬の品名及び数量を麻薬診療施設に備えた帳簿に記載しなければならない。
  5. 麻薬管理者の免許は、医師でなければ受けることができない。

 

 

 

 

 

正解.
問314:3
問315:1, 4

 解 説     

問314

選択肢 1,2 は
適切であると考えられます。薬液が漏れていたのであるため、主治医への報告をし対応策を伺う必要があります。また、その際に患者の状態を伝えるために痛みを確認することが必要です。

選択肢 4,5 は
適切と思われます。漏れた薬液が希釈したモルヒネなので麻薬です。従って、廃棄等について適切な手順をふむ必要があり、一連の経過を記録すると共に、麻薬管理者への報告が適切な対応であると考えられます。

選択肢 3 ですが
調剤済麻薬の廃棄について「医療機関における麻薬管理マニュアル」によれば、開設者 もしくは 管理薬剤師が、他の薬剤師 又は 他の職員の立ち合いの下廃棄します。看護師2人で確認しながら廃棄するように伝えるのは不適切であると考えられます。

以上より、正解は 3 です。

問315

選択肢 1 は、正しい記述です。

選択肢 2 ですが
麻薬の廃棄は、調剤済麻薬でないのであれば事前に届け出が必要です。「廃棄してから」では、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
届け出先は県知事です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい記述です。

選択肢 5 ですが
医師だけでなく、獣医師、歯科医師、薬剤師が受けることができます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

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