問 題
40歳女性。卵巣がんを原発とした多発性骨転移による疼痛があり、以下の処方が出されている。疼痛コントロールは良好であったが、2日前から、突然に我慢できない痛みが1日2~3回程度出現するようになった。主治医よりレスキュー薬の問い合わせがあった。
問268
医師に提案する薬剤とその1回用量の組合せとして適切なのはどれか。1つ選べ。
- 薬剤 用量【原薬量】
- オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠 40mg
- オキシコドン塩酸塩水和物散 60mg
- モルヒネ硫酸塩水和物徐放錠 120mg
- フェンタニルクエン酸塩舌下錠 100μg
- フェンタニルクエン酸塩経皮吸収型製剤 6mg
問269
オキシコドンの体内動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠は、肝初回通過効果の回避を目的とした製剤であり、薬物は主に直腸から吸収される。
- オキシコドンは水溶性が高く、主に能動輸送により消化管から吸収される。
- 母乳のpHは、一般に血漿pHと比較して酸性側にあるため、弱塩基性薬物であるオキシコドンは母乳中に移行しやすい。
- オキシコドンは、大部分が肝代謝により消失するため、健常人に比べ肝障害のある患者では血中濃度時間曲線下面積が増大する。
- オキシコドンは、臨床用量の範囲において投与量と血中濃度の関係が非線形性を示すため、治療薬物モニタリング(TDM)を行うことが推奨される。
正解.
問268:4
問269:3, 4
解 説
問268
突発的な痛みに対して即時の効果を期待して用いるのがレスキュー薬です。具体的には、オプソ内用液、オキノーム散、アブストラル舌下錠、イーフェンバッカル錠 などがあります。
レスキューなので徐放錠や経皮吸収ではありません。選択肢1,3,5 は明らかに誤りです。
レスキュードーズとして用いる場合、1日量の数分の1程度とします。そのため、選択肢 2 は明らかに量が多すぎます。よって、選択肢 2 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
問269
選択肢 1 ですが
直腸から吸収されるのは坐剤です。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
特に能動輸送による吸収は知られていません。水溶性が高いという記述は、正しいです。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3,4 は、正しい記述です。
母乳の pH が、やや酸性側 というのはぜひ憶えておきましょう。
選択肢 5 ですが
TDM 推奨薬物では、ありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3,4 です。
類題)101-42
コメント