薬剤師国家試験 第101回 問42 過去問解説

 問 題     

薬物の乳汁移行性について正しい記述はどれか。1つ選べ。

  1. 乳汁は血漿に比べて塩基性であるため、弱塩基性薬物は乳汁中に移行しやすい。
  2. 乳汁は血漿に比べて塩基性であるため、弱酸性薬物は乳汁中に移行しやすい。
  3. 乳汁は血漿に比べて酸性であるため、弱塩基性薬物は乳汁中に移行しやすい。
  4. 乳汁は血漿に比べて酸性であるため、弱酸性薬物は乳汁中に移行しやすい。
  5. 乳汁と血漿のpHは同じであるため、薬物が弱酸性あるいは弱塩基性であることは、乳汁移行性に影響を及ぼさない。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

脂溶性が高い、分子量が 200 以下、弱塩基性薬物(例:キニジン) などが乳汁中に移行しやすいことが知られています。

その理由は「乳汁に移行しやすく、血漿に戻りにくい」→血漿中で「分子型」で細胞膜を通過し乳汁において「イオン型」となっていれば乳汁に移行しやすく、かつ、留まりやすい。→「弱塩基性薬物 がイオン型となるような環境」=「酸性」。つまり、乳汁の方が酸性と考えられます。したがって、正解は「乳汁中が酸性 なので、弱塩基性薬物が 移行しやすい」 です。

以上より、正解は 3 です。

※本問題は、1:「乳汁の方が、血漿よりも酸性」 か、2:「乳汁中に移行しやすい薬物は弱塩基性」の どちらかを知識としてしっていればあとは考察するとよい問題です。共に 知らなかった場合も、選択肢 2,4 は不合理として、選択肢 1,3 5 から選びたい問題です。

類題 103-195
参考 薬剤学まとめ 唾液・乳汁中への排泄

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