問 題
53歳男性。尿酸値が高く、3週間前より処方1で治療を開始。その2週間後、尿酸値が改善されなかったので処方2及び処方3が追加となった。
処方2及び処方3を追加して7日後、患者より「新年会が続き、ビールを飲む量が増えており、足の親指が腫れて激しい痛みが生じてきた。」との訴えがあった。
問246
この場合の処置として適切なのはどれか。1つ選べ。
- フェブキソスタットを40mgに増量する。
- ベンズブロマロンを50mgに増量する。
- フェブキソスタットを40mgに増量し、ベンズブロマロンを50mgに増量する。
- フェブキソスタットとベンズブロマロンを中止し、コルヒチンを追加する。
- 処方1、処方2及び処方3はそのままで、インドメタシンを追加する。
問247
処方された薬物及び前問で挙げた薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- プロスタグランジンE2の産生を抑制する。
- 尿酸を酸化してアラントインと過酸化水素に分解する。
- 代謝物のオキシプリノール(アロキサンチン)がキサンチンオキシダーゼを阻害する。
- 腎臓の尿細管において尿酸トランスポーターを阻害する。
- T細胞のチューブリンに結合し、微小管の脱重合を抑制して安定化する。
正解.
問246:5
問247:1, 4
解 説
問246
治療が開始されていた状態で痛風発作がおきています。本試験時「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」によれば、発作時には、NSAIDsパルス療法(短時間に比較的多量投与)が推奨されています。
また、痛風発作時に、尿酸値を下げる薬を増量してしまうと痛風の痛みを悪化させてしまうおそれがあります。※既に治療が開始されていた場合、痛風発作時も、原則、治療薬を継続して服用しつつ痛み止め等が追加される といった対応になります。以上をふまえ、各選択肢を検討します。
選択肢 1 ~3 は
治療薬を増量しています。尿酸値が発作時に下がり痛みの悪化につながりかねず不適切と考えられます。
選択肢 4 ですが
コルヒチンは、発作前兆期や、予防的に用いられます。追加してコルヒチンを投与するのはありえるのですがその際は、治療薬を継続して服用しつつコルヒチンが追加されると考えられます。すなわち、フェブキソスタットとベンズブロマロンを中止し という点が明らかに誤りと考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい選択肢です。
痛み止めを追加しています。
以上より、正解は 5 です。
問247
選択肢 1 は、正しい選択肢です。
PG の産生を抑制するとは、COX 阻害剤の作用機序です。インドメタシンが該当します。
選択肢 2 ですが
尿酸を酸化し、アラントインと過酸化水素に分解する とはラスプリカーゼ の作用機序です。ラスプリカーゼは、がん化学療法に伴う高尿酸血症に対して用いられる、点滴静注剤です。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
代謝物がキサンチンオキシダーゼを阻害するのは、XO 阻害薬の中でも、アロプリノールです。ちなみに、非プリン型の XO 阻害薬であるフェブリクは、非競合的 アロステリック阻害による「選択的」キサンチンオキシダーゼ阻害薬です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい選択肢です。
尿酸トランスポーターを阻害し、尿酸の再吸収を阻害するのがベンズブロマロンです。
選択肢 5 ですが
チューブリンに結合し、微小管脱重合を抑制して安定化させるのはコルヒチンです。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
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