薬剤師国家試験 第102回 問202-203 過去問解説

 問 題     

25歳女性。テニスで上腕部の筋肉痛を自覚し、これに効く消炎鎮痛薬の貼付剤を購入する目的で薬局を訪れた。応対した薬剤師はこの女性から以下の4つの情報を聴取した。

  • 喘息の既往はない。
  • 現在、妊娠はしていない。
  • 貼付剤で皮膚がかぶれたことはない。
  • 以前に日焼け止め剤を使用して過敏症を発症したことがある。

問202

薬局で購入できる貼付剤の成分のうち、この女性に推奨すべきでないのはどれか。1つ選べ。

  1. ケトプロフェン
  2. ロキソプロフェンナトリウム水和物
  3. インドメタシン
  4. フルルビプロフェン
  5. フェルビナク

問203

日焼け止め剤には、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤が配合されている。ある紫外線吸収剤は共役系を持ち、その遷移エネルギーは360kJ・mol-1であった。この遷移エネルギーに相当する紫外線の波長(nm)として最も近いのはどれか。1つ選べ。

ただし、様々な物理定数は以下の値を用いることとする。

  • プランク定数 6.6×10-34J・s
  • 光速度 3.0×108m・s-1
  • アボガドロ数 6.0×1023mol-1
  1. 240
  2. 270
  3. 300
  4. 330
  5. 360

 

 

 

 

 

正解.
問202:1
問203:4

 解 説     

問202

まず、薬局やドラッグストアで外用剤購入時に
・喘息既往の確認→NSAIDs成分で喘息発作がおきうるから。
・妊娠の有無→NSAIDs成分で胎児に影響がありうるから。を行うことが大事です。

ーー
以下雑感。国試関係なし。
売らなきゃいけないのがフェイタス Z だったりすると「とにかく効きます」 みたいにおすすめしているお店も少なからずあるのではないかと思います。。薬剤師、登録販売者 みんなが
NSAIDs外用剤の副作用をきちんと意識し日々の業務を通じて薬物の適正利用を実現するためにMRさんも含め、それぞれの人が事あるたびに意識すべき点だと個人的に思います。以上雑感。
--

本問の聴取で、この女性は、貼付剤でかぶれたことはないが日焼け止めで過敏症を発症したことがあるとわかりました。ケトプロフェン(モーラステープ)が光線過敏症で聞き覚えがあるのではないでしょうか。「日焼け止め成分での過敏症既往歴がある人」にモーラステープは禁忌となっています。従って、正解は 1 です。

ちなみに、他の選択肢の成分も NSAIDs であり、ケトプロフェン以外は日焼け止め成分での過敏症既往歴がある人に禁忌でないにせよ、日光曝露を避ける、皮膚症状が出たら使用をすぐやめるといった注意喚起は必要なケースであると思われます。

問203

まず、波の基本的なパラメータは波長(λ)と振動数(ν)です。振動数と波長の重要な関係はc = νλ・・・1 です。振動数とエネルギーの関係を示す重要な公式が 「E = hν」・・・2 です。ここまでが前提知識となります。

λを求めたい問題で、E,h,c が与えられているので、式1を ν = c/λ と変形し、式2に代入します。すると、 E = h(c/λ)となります。これを λ = ? の形に直せば、λ = ch/E ・・・3です。

後は数値を代入すればいいのですが、エネルギーの単位が「1 mol 当たり」であることに注意します。1mol とは、分子 6.0 × 1023 個ということです。原子1個あたりになおすために、E の所に代入する数値は、6.0 × 1023 で割ります。

式3の右辺の各文字に、数値を代入すると
λ = (3 × 108) (6.6×10-34) / {(360×103)÷(6.0×1023)}
= 3.3 × 10-7
= 330 × 10-9(波長の単位が nm なので、n= 10-9 に数値を最後あわせています。)

以上より、正解は 4 です。

コメント