薬剤師国家試験 第102回 問173 過去問解説

 問 題     

高分子及び高分子水溶液に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 天然高分子の分子量は不均一であるが、合成高分子は重合度が均一で分子量の分布はない。
  2. 高分子の性質は、高分子を構成するモノマーの種類や比率によって決まり、直鎖状、分枝状などの構造による影響を受けない。
  3. 等電点付近のpH領域において、タンパク質は分子が広がった状態となるため、溶液の粘度が高くなる。
  4. 高分子溶液のコアセルベーションは、相分離により高分子の濃厚な相と希薄な相に分かれる現象である。
  5. 極限粘度(固有粘度)は、高分子水溶液の還元粘度を濃度に対してプロットし、濃度→0となるように外挿した時の切片の値である。

 

 

 

 

 

正解.4, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
高分子において、分子量の分布がある程度あります。そのため、平均分子量などで評価されます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択水 2 ですが
構造による影響も受けます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
等電点であれば、分子内に負電荷と正電荷をそれぞれもちます。すると分子内においてクーロン力で引きつけあいコンパクトにまとまると考えられます。

高分子溶液は、高分子鎖が広がっている方が全体がねばねばします。これは、コップの中に水とある程度の量の とろっとしたのり or 納豆のかたまり を入れた状態を想像するとわかりやすいかもしれません。コップの底にそっとのりや納豆がいる分にはあんまり全体のさらさら度はかわらないですが、がっつり混ぜて全体に行き渡るととろっとした液体になるイメージです。

タンパク質の実験をしたことがある人なら、溶液に尿素とか加えて塩析させると上澄がさらさらだったイメージで理解しやすいのではないでしょうか。

以上より、等電点において分子はコンパクトにまとまり粘度が低くさらさらすると考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4,5 は、正しい記述です。

以上より、正解は 4,5 です。

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