問 題
抗不整脈薬の体内動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- キニジンは、腎尿細管分泌によって大部分が未変化体のまま排泄されるため、肝障害が全身クリアランスに及ぼす影響は小さい。
- 心筋塞時にはα1-酸性糖タンパク質の血漿中濃度が減少し、ジソピラミドの全身クリアランスが上昇する。
- ジルチアゼムは、腎臓からの未変化体の排泄率が高いため、腎障害時には全身クリアランスが低下する。
- プロカインアミドは、腎尿細管において有機アニオン輸送系を介して分泌されるため、プロベネシドの併用により全身クリアランスが低下する。
- 心拍出量が減少したうっ血性心不全の患者では、健常人に比べ、プロプラノロールの全身クリアランスが低下する。
正解.5
解 説
選択肢 1 ですが
キニジンは、CYP 2D6 阻害薬として知られています。 肝代謝がメインの薬です。そのため肝障害が全身クリアランスに大きく影響します。※ただし、OAT を介した尿細管分泌である程度(20%程度)排泄されることもキニジンについて重要なポイントです。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
α1 酸性糖タンパク質 は、炎症や組織の壊死等で増えるタンパク質です。心筋梗塞時も「増加」します。減少ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
ジルチアゼムは CYP 3A4 代謝を受けます。肝代謝がメインの薬です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
プロカインアミドは、有機「カチオン」輸送系を介します。「アニオン」ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。※プロベネシド併用で有機アニオン輸送系を介する尿細管分泌が抑制されることは正しい記述です。
選択肢 5 は、正しい選択肢です。
肝代謝を受ける薬において、血流依存の薬物といえばプロプラノロール、リドカインなどがあります。
以上より、正解は 5 です。
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