薬剤師国家試験 第102回 問133 過去問解説

 問 題     

有害化学物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. マラチオンは残留性が低いので、残留農薬基準値は定められていない。
  2. 2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシンの毒性等価係数は1である。
  3. 鉛の消化管吸収率は、成人より幼児の方が高い。
  4. 有機スズ化合物に内分泌かく乱作用が認められるため、缶詰の内側をスズメッキするのは禁止されている。
  5. 無機ヒ素はヒト体内でメチル化を受け、毒性の低いアルセノベタインに変換される。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

選択肢 1 ですが
マラチオンは、残留農薬基準値が定められています。(いわゆるポジティブリストに載っています。)よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、正しい記述です。
ダイオキシン類の毒性の基準となる化合物です。

選択肢 3 は、正しい記述です。

選択肢 4 ですが
缶の内側のスズメッキとはいわゆるブリキ缶です。缶詰のみかんの缶を想像するといいと思います。禁止されていません。

もしくは、以下のように考えてもよいです。メッキで使われるスズは無機スズです。また、メッキのスズが有機スズになることも知られていません。従って、有機スズ化合物が環境ホルモンとして知られているからといって、スズメッキが禁止されるということはありません。選択肢 4 は、誤りです。

選択肢 5 ですが
無機ヒ素が、ヒト体内でメチル化されるという記述は正しいです。

アルセノベタインという化合物は「海洋生物」におけるヒ素代謝物です。無害な化合物です。一方、ヒトの体内でメチル化されたヒ素化合物は毒性を有します。従って、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2,3 です。

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