薬剤師国家試験 第102回 問131 過去問解説

 問 題     

染料などの工業原料に使用され、N-水酸化により代謝的活性化されて膀胱がんの原因となるのはどれか。2つ選べ。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 は
ヘテロサイクリックアミンの一つである Trp – p – 1 です。ヘテロサイクリックアミンは、N-水酸化の後、O-アシル化を受けて代謝活性化されます。食品中の焦げなどに含まれる物質です。染料などの工業原料には使用されません。

選択肢 2 は
ジメチルニトロソアミンです。P450(CYP2E1)による、N-脱メチル化を受けたのち、色々あって、メチルカチオンができ、DNA を化学修飾することで発がん性を示す物質です。N-水酸化による代謝活性化では、ありません。

選択肢 3 は
o-トルイジン(o-メチルアニリン)です。正しい記述です。

選択肢 4 は、プシロシンです。
シビレタケの有効成分として知られています。染料などの工業原料には使用されません。(※本構造に特徴的な、インドール環+ある程度伸びて N 構造は「幻覚作用を持つ化学物質」の共通構造なので自然毒の一種 or ドラッグ系ではないかと連想したい所です。)

選択肢 5 は、ベンジジンです。
染料などに用いられ膀胱がんの原因となりうる物質です。

以上より、正解は 3,5 です。
参考)衛生薬学 3-5 1)

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