薬剤師国家試験 第102回 問69 過去問解説

 問 題     

ある病院で新たに降圧薬 A を採用することになった。そこで薬剤師 X は当該病院において、高血圧患者に A を投与した場合と投与しない場合との間で、消化器症状の発現率に差があるかを観察・調査する研究を計画した。

なお、高血圧患者に A を投与するか否かは、それぞれの主治医による薬物治療上の判断に基づき、薬剤師 X は介入しないものとした。

この研究に該当するのはどれか。1 つ選べ。

  1. randomized controlled trial
  2. prospective cohort study
  3. retrospective cohort study
  4. case-control study
  5. meta-analysis

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

選択肢 1 ですが
日本語に訳すと「ランダム化比較試験」です。本問では、主治医が薬物治療上の判断に基づき Aを投与するかしないか を決めておりランダム化されていません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、正しい記述です。
日本語に訳すと「前向きコホート研究」です。

選択肢 3 ですが
日本語に訳すと、「後ろ向きコホート研究」です。コホート研究の一種でありこれからどうなっていくかを研究します。ただし「原因が既にあったこと」であることが、前向きコホートとの違いになります。

本問で言えば、過去に A を投与した群と、A を投与しなかった群がいてこれから研究が始まるという設定で、この両者がどう変化していくかを追っていく研究であれば後ろ向きコホート研究となります。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
「症例対照研究」です。これは既に結果があって、過去に向かって原因を調査する研究です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
日本語に訳すと「メタアナリシス」です。これは、複数の既存研究について総合的に分析、統合することです。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。
類題 106-119
参考 衛生薬学まとめ 要因・対照研究(コホート研究)、相対危険度、寄与危険度

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