薬剤師国家試験 第101回 問324-325 過去問解説

 問 題     

25歳男性。19時に来局した。男性は「本日、夕方から咳こみがひどく、おなかの調子も良くない。熱はないのでかぜの初期症状だと思う。明日から始まる国体に選手として参加するのだが、夜間診療している医療機関に行く時間がない。薬局で買えるかぜ薬と胃薬で早く対処したい。」と訴えた。

問324

以下の成分を含む一般用医薬品のうち、ドーピング禁止物質*を含まないのはどれか。2つ選べ。

(* 世界アンチ・ドーピング機構が定める禁止表に記載されている物質)

  1. (3包中) 炭酸水素ナトリウム1500mg 炭酸マグネシウム440mg プロザイム18mg ホミカエキス散200mg センブリ末10mg ビオヂアスターゼ1000 90mg l-メントール20mg
  2. (1包中) メトキシフェナミン塩酸塩50mg ノスカピン20mg カンゾウ粗エキス66mg グアヤコールスルホン酸カリウム90mg 無水カフェイン50mg マレイン酸カルビノキサミン4mg 
  3. (60mL中) ジヒドロコデインリン酸塩30mg グアイフェネシン170mg クロルフェニラミンマレイン酸塩12mg 無水カフェイン62mg
  4. (6錠中) プソイドエフェドリン塩酸塩135mg L-カルボシステイン750mg イブプロフェン450mg d-クロルフェニラミンマレイン酸塩3.5mg ジヒドロコデインリン酸塩24mg 無水カフェイン75mg
  5. (1錠中) ブチルスコポラミン臭化物10mg

問325

この男性に対する薬剤師の説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 漢方製剤であれば、どの製品でも使用できます。
  2. 健康食品・サプリメントの使用にも、注意が必要です。
  3. かぜ薬と胃薬であれば、今晩使用した分は、明日の朝までに体外に排出されます。
  4. ドーピング禁止物質は、新しく追加されたり変更されることがあります。

 

 

 

 

 

正解.
問324:3, 5
問325:2, 4

 解 説     

問324

◯◯エフェドリンや、麻黄に注意が必要です。興奮作用があるからです。メトキシフェナミン、トリメトキノールもだめです。β 2 刺激が、筋力増強を期待できてしまうためです。生薬だとホミカエキス(ストリキニーネ含む)、カイクジン、ジャコウなどが注意です。ステロイドやナファゾリンは、局所なら大丈夫です。

ちなみに、尿中濃度でドーピング判定するから、尿量が多いと濃度を下げることができます。そのため、利尿剤の使用は禁止されている点も注意する必要があります。以上をふまえ、各選択肢を検討します。

選択肢 1 ですが
「食べ過ぎ、飲み過ぎに」みたいなフレーズで販売されている胃腸薬の一種です。ホミカエキスが入っているので禁止物質を含みます。

選択肢 2 ですが
「喘鳴を伴うせきに」みたいなフレーズで販売されている咳止めの一種です。メトキシフェナミンが入っているので禁止物質を含みます。

選択肢 3 は
「つらいせきに」みたいなフレーズで販売されている咳止めの一種です。コデインやカフェインが、大丈夫なのか・・・?と感じるかもしれませんがこの薬には、禁止物質は含まれません。

選択肢 4 ですが
「かぜで、のどがつらいあなたへ」みたいなフレーズで販売されている総合かぜ薬の一種です。◯◯エフェドリンが入っているので禁止物質を含みます。

選択肢 5 は
胃のけいれんなどに用いられる鎮痙薬の一種です。禁止物質は、含まれません。つい、抗コリン薬だから「禁忌」を連想するかもしれませんが、ブチルスコポラミンや喘息治療などに用いる抗コリン薬などは禁止物質には含まれていません。

以上より、正解は 3,5 です。

問325

選択肢 1 ですが
麻黄など、禁止されている生薬成分があるので「漢方ならば、OK」では、ありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は、正しい選択肢です。
サプリメントに蛋白同化薬が含まれていた例などがあり、注意が必要です。

選択肢 3 ですが
ドーピング検査をパスできるレベルまで体内の薬物を排出するには、1週間程度、また、それ以上の期間かかることもあります。今晩使用して、明日には大丈夫とはいえません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい選択肢です。
最新の情報に注意が必要です。

以上より、正解は 2,4 です。

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