薬剤師国家試験 第101回 問316-317 過去問解説

 問 題     

60歳男性。多発性骨髄腫の診断により、治療を受けている。今回、サリドマイドカプセル100mg1日1回の経口投与を開始することになった。サリドマイド製剤は希少疾病用医薬品であるとともに、副作用防止体制がとられている。

問316

本剤に関する記述のうち、適切でないのはどれか。1つ選べ。

  1. 製造販売業者による安全管理体制が構築されている。
  2. 再審査期間は20年とされている。
  3. 女性にも投与が可能である。
  4. 承認時に、全症例の製造販売後調査を実施することとされた。
  5. 多発性骨髄腫への使用は、再発又は難治性の場合に限られる。

問317

希少疾病用医薬品の指定等に関する手続きのうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. 指定申請にあたっては、その用途に係る本邦における対象者の数に関する資料が必要である。
  2. 指定にあたっては、薬事・食品衛生審議会の意見を聴く必要がある。
  3. 指定が行われたときは、その旨が公示される。
  4. 指定を受けた者が試験研究を中止しようとするときは、あらかじめ、届け出なければならない。
  5. 指定が取り消されたときは、その旨は公示されない。

 

 

 

 

 

正解.
問316:2
問317:5

 解 説     

問316

サリドマイド製剤は、かつて副作用のアザラシ肢症が問題となり、販売中止になった薬剤です。しかし薬効の研究は続けられ、多発性骨髄腫に有効とされ国際的に使用されてきました。日本では、まず個人輸入で用いられ、その後製薬会社により製造販売が行われるようになりました。再発や難治性の多発性骨髄腫に用いられます。

このような経過から、厳重な安全管理体制が構築されています。使用者及び患者は、登録が必要であり、妊娠する可能性のある女性は他に治療方法がない場合を除き、登録対象には、なりません。(いいかえると、女性でも妊娠可能性がなかったり、治療の選択肢がなければ使用できます。)

希少疾病用医薬品であり、再審査期間は 最長の 10 年間です。承認条件として再審査のための製造販売後調査において全症例についての調査が義務付けられました。

従って、選択肢 1,3,4,5 は正しい選択肢です。

以上より、正解は 2 です。

問317

希少疾病用医薬品とは、対象患者数 5 万人未満で、必要性が高いなどの条件を満たすとして、薬事・食品衛生審議会の意見を聴き、厚生労働大臣が指定するものです。対象者数に関する資料が必要です。

指定を受けると、助成金交付、優先審査などの優遇を受け、開発を促進できます。指定や指定取り消しをすると公示されます。指定を受けてからの研究中には届け出が必要です。(医薬品医療機器等法 77 条)

従って、選択肢 1 ~ 4 は正しい 記述です。

以上より、正解は 5 です。

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