問 題
23歳女性。体重60kg。てんかん発作に対してフェニトイン1日150mgで治療を開始した。2週間後の受診で、治療開始後もてんかん発作が起こったとの訴えがあった。アドヒアランスは良好であった。
血中濃度測定を行ったところ5.0μg/mLであり、医師より薬剤師に増量の目安について相談があった。肝機能、腎機能に異常はなく、フェニトインの血中濃度に影響を及ぼす併用薬はなかった。
問302
本症例でフェニトインの投与設計を行うにあたり、体内からの消失速度はミカエリス・メンテンの式に従い、Km=5.0μg/mLであると仮定した。
このとき、血中濃度が定常状態において中毒域(20μg/mL以上)にならない範囲での、1日最大投与量(mg)の推定値に最も近いのはどれか。1つ選べ。
- 200
- 225
- 325
- 450
- 650
問303
前問で計算した投与量で治療を続けていたが、中毒症状が発現したため血中濃度を測定したところ30μg/mLであった。原因として考えられる患者の遺伝的特徴はどれか。1つ選べ。
- CYP2D6の変異型遺伝子をもつ。
- CYP2C9の変異型遺伝子をもつ。
- CYP2C19の野生型遺伝子をもつ。
- CYP3A5の野生型遺伝子をもつ。
- UGT1A1の変異型遺伝子をもつ。
正解.
問302:2
問303:2
解 説
問302
非線形動態を示す薬物(フェニトイン等)の投与量と血中濃度の関係は、ミカエリス・メンテン式で近似されます。ミカエリス・メンテン式「v = Vmax・[S]/(Km+[S])」を覚えていたとします。
薬物動態では、v : 反応速度→消失速度、[S]:基質濃度→血中濃度とします。で、定常状態では「投与速度=消失速度」と考えられます。
150mg 投与して、血中濃度 5.0 だったので、Km=5 として、150 = Vmax・5/(5+5) となるからVmax = 300 とわかります。
次に、中毒域にならない最大投与量(以下、「?」とする。)を考えます。? = 300・20/(5.0 + 20) より ? を計算すると、240 です。一番近いのは、選択肢 2 です。
以上より、正解は 2 です。
類題 99-272
問303
血中濃度が高くなっており代謝酵素の変異が疑われます。フェニトインの代謝酵素は、主に CYP 2C9 です。
以上より、正解は 2 です。
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