問 題
71歳男性。50年前から喫煙習慣がある(喫煙指数:1200)。階段歩行時に息切れを訴え近医を受診し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断され、以下の処方が出された。
問300
処方1の薬剤を使用するにあたり、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 前立腺肥大症があるかを確認する。
- 口腔内カンジダ症予防のため、チオトロピウムの吸入後はよくうがいをするよう患者に伝える。
- フドステインの併用により、チオトロピウムの作用が増強するおそれがあることを患者に伝える。
- 喫煙者はチオトロピウムの作用が増強するおそれがあることを患者に伝える。
- 副作用として、口渇が現れることがあることを患者に伝える。
問301
上記の患者に関連した記述のうち正しいのはどれか。2つ選べ。
- フドステインは去痰の目的に用いられている。
- 気管支ぜん息と異なり、禁煙は治療に影響を与えない。
- 病状が増悪するので、インフルエンザワクチン接種は禁忌である。
- テオフィリンにより、尿閉の副作用が出やすいので注意が必要である。
- 改善が見られなければ、サルメテロールキシナホ酸塩の追加を考慮する。
正解.
問300:1, 5
問301:1, 5
解 説
問300
まず喫煙指数とは、「1日 a 本 × 喫煙年数」のことです。大体タバコ1箱は 20 本です。この患者は、1日 24 本、50 年間吸ってきたということです。
次に処方ですが、チオトロピウムは「トロピ」があるので抗コリン薬です。気管支を広げてくれます。主な副作用は、口渇です。禁忌が閉塞性緑内障、前立腺肥大症で排尿障害がある場合 です。
以上より、正解は 1,5 です。
ちなみに、選択肢 2 ですが
うがいは推奨されます。口渇などの副作用軽減が期待されます。カンジダ予防は、ステロイド吸入に関してです。チオトロピウム吸入に関してでは、ありません。
選択肢 3 ですが
フドステインは、去痰薬です。カルボシステインなどと同様のカテゴリーの薬です。チオトロピウムとの相互作用は特にありません。
選択肢 4 ですが
喫煙によってチオトロピウム作用増強はありません。喫煙といえば、CYP 1A2 の誘導 です。この知識との混同を狙った選択肢かと思います。
問301
選択肢 1 は、正しい選択肢です。
選択肢 2 ですが
禁煙により、肺機能の低下を抑えることができます。禁煙が、治療に大きく影響します。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
COPD 患者は、呼吸器感染症が重症化しやすいことが知られています。そのため、インフルエンザワクチンの接種は推奨されます。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
尿閉の副作用があるのはチオトロピウムです。テオフィリンでは、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい選択肢です。
以上より、正解は 1,5 です。
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