薬剤師国家試験 第101回 問288-289 過去問解説

 問 題     

60歳男性。2年前にうつ病と診断され、薬物治療を行ってきた。ここ数ヶ月、仕事が多忙になり、気分の落ち込みが激しくなった。本日受診した結果、主治医はこれまでの抗うつ薬を1錠から2錠に増量した。

問288

以下のうち、この患者において注意すべき重大な副作用はどれか。1つ選べ。

  1. 腎不全
  2. セロトニン症候群
  3. 間質性肺炎
  4. 横紋筋融解症
  5. 無菌性髄膜炎

問289

薬局薬剤師が、前問の重大な副作用を早期発見するために患者にあらかじめ説明する事項として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

  1. 高熱が出るようでしたら、お知らせください。
  2. 下痢を起こすようでしたら、お知らせください。
  3. 手足が勝手に動くことがあれば、お知らせください。
  4. 不安やいらいらが高まるようであれば、お知らせください。
  5. 手にピリピリする感覚や、やけどしたときのような痛みがあれば、お知らせください。

 

 

 

 

 

正解.
問288:2
問289:5

 解 説     

問288

問289 とまとめて解説します。

問289

セルトラリン(ジェイゾロフト)は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) の一種です。作用機序からセロトニンが過剰になることによる副作用に注意が必要であるといえます。

以上より、問288 の正解は 2 です。

ちなみにセロトニン症候群とは、不安、発汗、発熱、下痢、ミオクローヌス(筋肉の、無意識の運動)などの症状が表れることです。イメージとしては感覚も筋肉も、過敏に興奮している感じです。問289の選択肢 1 ~ 4 は、適切な選択肢です。

選択肢 5 は
手足症候群に関する説明です。手足症候群とは、抗がん剤による化学療法の影響で手や足に、感覚異常や皮膚の変形、変質などが見られることです。

以上より、問 289 の正解は 5 です。

コメント