薬剤師国家試験 第101回 問260-261 過去問解説

 問 題     

70歳女性。1ヶ月前から四肢の筋力低下と、眠れないほどの四肢及び腰部の痛みがある。整形外科を受診し、以下の薬剤が処方された。

問260

上記の処方に関する服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 服用後、なるべく早く食事をとるように指導する。
  2. 服用後、横になって安静にするように指導する。
  3. 歯科を受診する場合に、服用中の薬剤について歯科医師に告知するように指導する。
  4. 自動車の運転など、危険を伴う機械の操作に従事しないように指導する。
  5. 腰痛が改善したら、直ちに服薬を中止するように指導する。

問261

リセドロン酸の作用機序として正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. 骨のエストロゲン受容体に結合し、骨芽細胞を増加させ骨形成を促進する。
  2. ヒドロキシアパタイトに結合したのち骨芽細胞に取り込まれ、アポトーシスを起こす。
  3. オステオカルシンのカルボキシ化を介し、前駆細胞から破骨細胞への分化を阻害する。
  4. メバロン酸代謝経路のファルネシルピロリン酸合成酵素を阻害し、破骨細胞の機能を抑制する。
  5. カルシウムの腸管からの吸収を促進し、血中Ca2+値を上昇させる。

 

 

 

 

 

正解.
問260:3, 4
問261:4

 解 説     

問260

選択肢 1,2 ですが
リセドロン酸は、ビスホスホネート製剤です。破骨細胞の活性を抑制することにより骨吸収を抑制します。

使用上の注意として食道などに付着したままだと局所刺激症状をおこすおそれがある点があります。そのためコップ1杯程度の、多めの水での服用を指導します。又、服用後最低30分は、横にならないように、さらに食事等を行わないように指導します。(これらは、食道などへの薬の残留を防ぐためです。又、胃に何か入っていると、吸収が悪くなるためです。)よって、選択肢 1,2 は誤りです。

選択肢 3,4 は、正しい選択肢です。
ビスホスホネートの長期服用患者における、歯科処置に関連した顎骨壊死のリスクに関して正しく対処するために、歯医者に使用中の薬剤を告知していただきます。また、アルプラゾラムの服用に際し、眠気、集中力の低下などがおきうるので自動車の運転などを避けるよう指導します。

選択肢 5 について
痛みがなくなったからといって服薬を中止するかどうかは医師の判断することです。(予防的な効果による投与継続などがありえる。)よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3,4 です。

問261

リセドロン酸は、ビスホスホネート製剤です。骨のハイドロキシアパタイトに強い親和性を持ち、破骨細胞の活性を抑制することにより骨吸収を減少させる薬です。ポイントは、「破骨細胞の抑制」です。それをふまえ、各選択肢を検討します。

選択肢 1 ですが
「骨芽細胞増加」では、ありません。

選択肢 2 ですが
骨芽細胞に取り込まれアポトーシスだと、骨芽細胞が減ってしまうのでそもそも骨粗しょう症のメカニズムとして不適切です。

選択肢 3 ですが
破骨細胞への「分化抑制」では、ありません。

選択肢 4 は、正しい選択肢です。

選択肢 5 ですが
「Ca 吸収促進」では、ありません。

以上より、正解は 4 です。

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