薬剤師国家試験 第101回 問240-241 過去問解説

 問 題     

36歳男性。CD20陽性の再発低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫のため、イットリウム(90Y)イブリツモマブチウキセタン(遺伝子組換え)を投与することになり、注射液の調製が依頼された。

問240

イットリウム(90Y)イブリツモマブチウキセタン(遺伝子組換え)注射液はイブリツモマブチウキセタン(遺伝子組換え)にイットリウム(90Y)を結合させて調製する。調製について誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. 製品名と規格、検定日、使用量、使用日、患者名、調製者名等を記載した記録簿を作成し保管する。
  2. 調製は、微生物の汚染を防ぐためにクリーンベンチ内で行う。
  3. 飛散防止のためにバイアル内は陰圧に保つ。
  4. 放射性医薬品が分注されたシリンジには、医薬品の名称、量及び患者氏名を記入したシールを貼付する。
  5. 調製時に発生した放射性廃棄物は、専用のドラム缶に封入し保管廃棄する。

問241

90Yに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 主にβ線を放出する。
  2. 半減期は約1週間である。
  3. 90Srとの間に放射平衡が成り立つ。
  4. 神経組織に特異的効果を示す。
  5. 光電効果やコンプトン散乱を引き起こす。

 

 

 

 

 

正解.
問240:2
問241:1, 3

 解 説     

問240

放射性医薬品の調製であるため、被爆 及び 汚染を避けるためにクリーンベンチ(中が陽圧)ではなく安全キャビネットで調製します。よって、選択肢 2 は誤りです。その他の選択肢は、正しい記述です。以上より、問240 の正解は 2 です。

ちなみに、本問の薬剤の商品名は ゼヴァリンです。CD 20 陽性の低悪性度 B 細胞性非ホジキンリンパ腫が適応です。

問241

選択肢 1,2 ですが
90Y の特徴として、物理学的半減期が 64 時間と短めであること 高エネルギーで純粋なβ線のみを放出する点 があげられます。従って、選択肢 1 は正しい記述です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、正しい選択肢です。
放射平衡とは、放射性核種が A → B → C と逐次崩壊していく場合、ある程度の時間が経過すると核種が放つ 放射能の量的な関係がほぼ一定の比率で推移することです。

選択肢 4 ですが
特異的効果を示すのは、標的腫瘍細胞に対してです。神経組織に対してでは、ありません。

選択肢 5 ですが
光電効果やコンプトン散乱は、γ線と物質の相互作用です。β線を放出する 90Y の特徴では、ありません。

以上より、正解は 1,3 です。

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