薬剤師国家試験 第101回 問206-207 過去問解説

 問 題     

10歳女児。体重34kg。昨夜より咽頭痛がひどかったため、母親が小児科を受診させ、以下の処方箋をかかりつけの保険薬局へ持参した。処方箋を受け取った薬剤師が薬剤服用歴とお薬手帳で現在服用中の薬剤を確認したところ、以下の①~⑤であった。

問206

現在服用中の薬剤のうち、セフジニル細粒との相互作用が問題となるのはどれか。1つ選べ。

  1. バルプロ酸Na徐放顆粒
  2. ビフィズス菌微粒
  3. 溶性ピロリン酸第二鉄シロップ
  4. プランルカストシロップ用
  5. フェキソフェナジン塩酸塩シロップ用

問207

セフジニルに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. セフェム系抗生物質である。
  2. 細菌の細胞壁生合成に関わる酵素をアルキル化することで作用を示す。
  3. β-ラクタマーゼによって、aの位置で加水分解される。
  4. オキシムはZ配置である。
  5. アミノイミダゾリル基をもつ。

 

 

 

 

 

正解.
問206:3
問207:1, 4

 解 説     

問206

セフジニル細粒(セフゾン)は、鉄とのキレート形成による吸収低下が知られています。そのため溶性ピロリン酸第二鉄シロップとの相互作用が問題となります。

以上より、問206 の正解は 3 です。

問207

選択肢 1 は、正しい選択肢です。
名前にセフが入っているからぐらいの判断でも悪くないと思います。

選択肢 2 ですが
セフェム系は、β-ラクタム系の一種です。β-ラクタム系の作用機序は、ペニシリン結合タンパク質に「結合」することで細胞壁合成を阻害します。アルキル化する、わけではありません。(抗がん剤の、アルキル化剤との混同を狙っていると考えられます。)よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
β-ラクタマーゼは、β-ラクタムを加水分解します。β-ラクタムとは、N を含む環の部分です。従って、加水分解されるのは a の位置ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい選択肢です。
Z 配置である、というのは、C=C の左側と、右側においてそれぞれ優先度が高い方を見つけて、それが同じ側にある、ということです。※ 本問では、C=N で考える。

オキシムとは、C=N-OH の部分です。N から伸びているのは OH だけなので、OH がある方が、優先度が高いです。一方、C から伸びているのは、一個目は共に C ですが、二個目の優先度が高い原子がそれぞれ N、O です。O の方が優先度が高いです。以上より、優先度が高い側が同じ側にあります。これは、Z 配置です。

選択肢 5 ですが
イミダゾリル というのは、イミダゾールを意味する接頭語です。イミダゾールは、N を 2 個含む 5 員環です。アミノ「チアゾール」を含む が正しい記述です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。

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