問 題
ある疾患Xは、日本人の有病率が0.2%である。Xに対する疾患マーカーMは、Xに罹患した患者において99%の確率で陽性を示すが、1%の確率で陰性を示す。また、Xに罹患していない患者では2%の確率で陽性を示し、98%の確率で陰性を示す。
ある日本人患者が疾患マーカーMで陽性を示したとき、その患者がXに罹患している確率(陽性予測値)として、最も近い値はどれか。1つ選べ。
- 9%
- 25%
- 73%
- 97%
- 98%
解 説
割合だけが与えられているので、適当な数を設定するとイメージしやすいと思います。「0.2 %」 という割合があるので全体を、例えば 1000 人とします。すると、病気を有するのは、2 人です。(1000 × 0.2 × 0.01 = 2)※ % を割合になおすため、0.01 をかけました。さて、マーカー M で陽性になるのは2つパターンがあります。
パターン1:病気のない人(998人)が 2 % の確率で陽性 → 998 × 0.02 ≒ 1000 × 0.02 = 20 (998のままだと計算がたいへんなので大体 1000 としました。)
パターン2:病気の人(2 人)が 99 % の確率で陽性 → 2 × 0.99 ≒ 2 × 1 = 2(0.99 は、ほぼ 1 なので、1 としました。)
すると、陽性になる人が合計で 22 人ですが、実際に病気の人は 2 人です。大体 10 % 弱なので、正解は 1 です。
以下雑感。試験には必要なし。
希少な病気のマーカーを作るのは難しいんだなぁ、と感じる問題でした。。1000人に1人ぐらいの病気は結構あります。で、その病気に特徴的なマーカーを作って99%で陽性ってそれだけ聞くとすごくいいマーカーと思います。
(以下、架空のプレスリリース
『XVII 型 加齢性全身性筋収縮剛直症 に特徴的な遺伝子 CALMIOXX を標的とした遺伝子マーカー 発見のお知らせ
・・・略
本マーカーは、99%の確率で、疾患を有する患者に対して陽性を示すものであり、早期発見、早期治療に
・・・』
みたいな発表を聞いたら、お~って思う気がするぐらいの意味です。)
そして、病気のない人に対して2%で陽性を示すって、正直「ふ~ん、そっか~」ぐらいの感覚でした。ところが、いざ「マーカーを使った検査(全員を対象)」を考えてみると、10%程度の陽性予測値 であるというのが本問の答えです。そうなると、例えば健康診断に加える検査として費用対効果を考えると、このようなマーカーの意義がどの程度なのか。
このマーカー開発に、例えば50億円と10人の研究に携わった人の3年間の人生がつぎこまれたとしたら、これは妥当なのか。それでも意義があることもあるだろうけれど、意義は言葉を尽くして語り尽くされるべきだろう などと連想した問題でした。以上、雑感
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