薬剤師国家試験 第101回 問190 過去問解説

 問 題     

55歳男性。進行下行結腸がん手術施行後、テガフール・ウラシル配合剤を内服していた。その後、脾転移、腹膜播種が認められ、FOLFOX+ベバシズマブ療法が開始された。12コース施行後、効果が不十分なため、FOLFIRI+パニツムマブ療法へ変更となった。

このがん化学療法施行前に行う遺伝子検査はどれか。2つ選べ。

  1. EGFR
  2. KRAS
  3. UGT1A1
  4. B-Raf
  5. Bcr-Abl

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

FOLFIRI 療法とは、FOLFOX で用いられる OX=オキサリプラチン を IRI = イリノテカン に変えたレジメンです。

イリノテカンはプロドラッグです。Ⅰ型DNAトポイソメラーゼ阻害薬です。カルボキシルエステラーゼによる代謝を受けて、活性代謝物である SN – 38 に変換されます。SN -38 は、グルクロン酸抱合により代謝されるのですが、UGT1A1 遺伝子 の多型によって副作用発現割合が高くなることが知られています。よって、UGT 1A1 の遺伝子検査を行います。

また、ベバシズマブ(アバスチン)は、VEGF (血管内皮細胞増殖因子) を標的とする、モノクローナル抗体です。そして、今回変更となるパニツムマブ(ベクティビックス)は、EGFR (上皮細胞増殖因子)を標的とする、モノクローナル抗体です。パニツムマブは、KRAS 遺伝子野生型 の結腸・直腸がんに用いられます。よって、KRAS 遺伝子検査を行います。

以上より、正解は 2,3 です。

コメント