101回薬剤師国家試験 問135解説

 問 題     

ハロアルカン類の化合物には、オゾン層破壊効果や温室効果を持つものがある。それらは、オゾン層破壊効果の強弱に基づき3つの群に分類される。

下図は、冷媒として使用するハロアルカン類の国内出荷量を、地球温暖化係数を用いて二酸化炭素相当量に換算し、その経年変化を表したものである。②群に分類される化合物の構造式を2つ選べ。

 

 

 

 

 

正解.2, 4

 解 説     

3つの群とは、CFC、HCFC、HFC です。CFC が「Cl、F、C」のみからなる化合物です。HCFC が「H、Cl、F、C」からなる化合物です。HFC が「H、F、C」のみからなる化合物です。

昔たくさん使われていたのが CFC です。オゾン層破壊が問題になりました。CFC からの転換が大きな課題であった頃は、オゾン層への影響が相対的に小さい HCFC が主に代替フロンと呼ばれていました。CFC → HCFC の転換はおおむね終了しています。

しかし、HCFC もオゾン層破壊物質として認定され、近年はさらに HCFC → HFC への転換が進んでいます。HFC を、一般に「代替フロン」と呼びます。CFC、HCFC を「特定フロン」と呼びます。

代替フロンは、オゾン層への影響はないものの、高い温室効果がある点に注意が必要です。特定フロンは、オゾン層への影響が大きく、かつ、高い温室効果も有します

これらをふまえ、問題文の資料、及び選択肢を検討します。② 群は、資料から「現在削減されつつあるもの」と読み取れます。従って、HCFC と考えられます。選択肢 1,5 が CFC です。選択肢 2,4 が HCFC です。選択肢 3 が HFC です。

以上より、正解は 2,4 です。

ちなみに、フロンの名称は CFCー113 のように、構造を表す番号が用いられます。この番号の意味は、1の位が「分子中 F 数」、10 の位が「分子中 H 数+ 1 」、100 の位が「分子中 C 数ー1 」です。

コメント

  1. モンチッチ より:

    いつも勉強の際に参考にさせていただき、ありがとうございます。
    解説文で「CFC、HCFC を「特定フロン」と呼びます。」とありますが、特定フロンはCFCのみで、HCFCは代替フロンではないでしょうか。
    ご確認よろしくお願い致します。

  2. kazupiko より:

    コメントありがとうございます。

    ・解説文、及び
    環境省 HP を確認いたしました。

    HCFC が 代替フロンとして 
    呼ばれていた時もあるのですが
    本問解説について
    この内容でよいという認識をしております。

    ・また、より古い問題において
    公表された正答から
    HCFC を 特定フロン と みなさない 
    という認識で出題されていた と考えられる問題も
    ありました。

    そちらの問題の解説においては
    特定フロンは CFC のみ という内容で
    解説しています。

    ご指摘コメント
    確認のきっかけとなり、助かりました。
    引き続き、よろしくお願いします!

  3. モンチッチ より:

    いつも迅速にご対応いただき、ありがとうございます。
    こちらの勉強不足でお手数をおかけしました。
    HCFCは代替フロンから特定フロンに扱いが変わったという経緯があったのですね。
    こちらこそ、勉強になり助かりました!